VRグリムゾーンダイブオンライン
〜テレビ〜
浅瀬アナ「今、日本で話題のVRゲームグリムゾーンダイブとはどう言ったものなのか」
「どこから現れて、どうしてこのように人気になってしまったのか」
「街の人にインタビューしてきました」
「それでは中継を繋ぎます」
「近藤さん」
近藤「はーい、こちら近藤です」
「巷で噂になっている○○県○○市に来ています」
「早速聞いていきます」
〜〜〜〜〜
近藤「最近話題になっているグリムゾーンダイブを持っていますか?」
男「あの伝説のVRゲームですよね、残念ながら持っていないです」
〜〜〜〜〜
女「持ってない」
〜〜〜〜〜
男「持ってないな」
〜〜〜〜〜
女「持ってないです」
近藤「このように話題にはなってるものの所有してる方は少なく、既に30人くらいの人に話しかけて見ましたが誰も持っていないとのことです」
「街の人からは都市伝説ではないかとか、とても希少が高いもので実際持ってる人は人口の1割にも満たないんじゃないかという声も上がっています」
???「グリムゾーンダイブの話?」
近藤「あ、グリムゾーンダイブについてご存知ですか?」
???「俺持ってるよ、グリムゾーンダイブ」
ピッ
ヒルトミ「あ、ちょっと切らないでよ」
カナタ博士「お前な、来るのはいいがここは研究所だ」
「なんでくつろいでテレビ見てるんだよ」
ヒルトミ「いや、やることなくて……」
「家にいても誰もいないから」
カナタ博士「寂しがり屋か」
メアリー「ふはははは」
カナタ博士「お前は何動画見てくつろいでるんだ!」
メアリー「邪魔しないでよ、今いいところなんだから」
カナタ博士「ったく、ここはお前たちの遊び場じゃないんだぞ」
メアリー「いいじゃんいつも研究手伝ってあげてたんだから」
「これくらい許してくれても」
ヒルトミ「そうだそうだ!」
カナタ博士「それを言われたら返す言葉が見つからないな」
「………」
ヒルトミ「どうしたの?いきなり考え事して」
カナタ博士「そろそろ頃合か」
「お前たちこっちに来てくれ」テクテクテク
ヒルトミ「なんなんだろう」
メアリー「さあ?」
〜〜〜〜〜
カナタ博士「早速だが、お前たちにはこれを渡す」スッ
ヒルトミ「なんですかこれ」
カナタ博士「何ってVRゲームグリムゾーンダイブだが」
ヒルトミ「え!?」
「今話題の幻のVRゲームですか!?」
「どうしてカナタ博士が持ってるんですか!」
カナタ博士「なぜって、このゲームを開発したのは私だからな」
ヒルトミ「……嘘でしょ……」
カナタ博士「本当だが?」
「なんなら、すぐ試してもらっても構わんぞ」
ヒルトミ「貰ってもいいんですか?」
カナタ博士「あぁ、好きに使ってくれ」
メアリー「なんか怪しいな」
「カナタ博士なにか企んでない?」
カナタ博士「まぁ、企んでいないといえば嘘になるな」
「今お前たちに渡したのは通常の物とは違ってな、開発側用のものだ」
ヒルトミ「開発側?」
カナタ博士「なーに、ゲームをより面白くするようにお前たちには手伝ってもらうだけだ」
ヒルトミ「通常と何が違うんですか?」
カナタ博士「ここで説明するより実際使って説明した方が早いからな」
「家に帰ったら試してみてくれ」
メアリー「ちなみにゲームのジャンルは?」
カナタ博士「VRファンタジーオンラインだ」
メアリー「オンラインか、そういうの好きじゃないんだけど……」
ヒルトミ「正直僕も……」
「一人でやるのは心細いっていうか、他のプレイヤーと交流するのはどうも苦手で」
カナタ博士「お前は別の世界で友達作ったり得意だろそれなら問題ない」
ヒルトミ「いや、全然違うよ!」
「実際対面するのとゲームは別問題だから」
カナタ博士「私には違いがわからんが」
「このゲームは普通のVRと違って直接意識をVRへ送る」
「VRの世界ではプレイヤーとリアルに会いリアルに交流ができるシステムだ」
メアリー「要するに以前ヒールーが勘違いしていた仮想現実みたいなものか」
ヒルトミ「仮想現実かー」
「でもプレイヤーはちゃんと人間なんでしょ」
「なんかなー」
メアリー「ところでカオスさん達には渡さないの?」
カナタ博士「他のやつらには既に配ってあるお前らより先にプレイしてるが」
ヒルトミ「あれ……てことは僕とメアリーだけハブられてた……?」
メアリー「僕だけハブられるならともかくヒールーもなんて珍しいよね」
「こういうこと真っ先にヒールーに話が行きそうなのに」
カナタ博士「さっきも言ったがお前らに渡したやつは開発側用仕様のVRだ」
「カオス達に配ったのは一般用だ」
メアリー「なるほど、僕とヒールーだけは特別なんだ」
ヒルトミ「思ったんだけどこんなに人気が出てるゲームなのに全然出回ってないのはなぜ?」
カナタ博士「あぁ、このゲームはまだ開発途中でな現在出回ってるのはベータ版なんだよ」
「現在モニターユーザーは1000人弱」
「この段階でもかなり好評だ」
「お前たちにはゲームの完成を手伝ってもらう」
ヒルトミ「わかりました!」
メアリー「仕方ないな」
「なら、さっさと帰ってVRにINしろ」
「私はこれから忙しいから失礼する」
「VRで会おう」テクテク
ヒルトミ「行っちゃったね」
メアリー「どうする?僕たちもここで解散する?」
ヒルトミ「そうだね、じゃあまたVRで」
メアリー「会えるかはわかんないけど」
ヒルトミ「連休で5日休みで良かったよ」
メアリー「僕は明日も休みだけどやる事あるから長くはできないな」
〜ヒルトミの家〜
ヒルトミ「これを頭に被って」ガシッ
「これが電源ボタンかな?」ボチッ
サー
ヒルトミ「あ、あれ……意識が……遠…のいて……」バタッ
〜〜〜〜〜
ヒルトミ「はっ、ここは?」
???「さっそく試してくれたようだな」
ヒルトミ「その声はカナタ博士?」
カナタの声「早速だがこれからVRをプレイする上で自分の器を作ってくれ」
ヒルトミ「器?」
カナタの声「今のお前は意識だけの存在」
「言わば魂のみの存在だ」
「体がなくては困るだろ」
ヒルトミ「……だね」
カナタの声「VRでの性別を選べ」
男? 女?
ヒルトミ「普通に男で」
カナタの声「顔、鼻、目、口、体型、飾りそれぞれバーツを選べ」
バッ!
ヒルトミ「凄い沢山バーツあるんだ!」
「どのキャラクリゲームよりも凄い!」
〜2時間後〜
ヒルトミ「よし、これでいこう」
カナタの声「随分時間がかかっていたな」
ヒルトミ「だって色々ありすぎて悩んでたんだもん」
カナタの声「まぁいい、次は名前はどうする?」
ヒルトミ「やっぱり本名使うのは嫌だからいつも通りヒルトミで」
カナタの声「よし一通り決まったな」
「次はお前のジョブを、と言いたいが」
「それを決めることはできないすまないがこのままVRへ行ってもらうぞ」
ヒルトミ「え、待ってジョブないの?」
「ファンタジーオンラインだよねこれ……」
「どうやって戦えばいいば?」
カナタの声「何も聞こえないな、ではVRの世界を楽しんでくれ」
「グリムゾーンダイブでのお前の役目は全プレイヤーの敵だ」
ヒルトミ「うわあああ」
〜グリムゾーンダイブの世界〜
ヒルトミ「………」
「ん?」
ガヤガヤ
ヒルトミ「本当にゲームの世界か?」キョロキョロ
ドーン
女「あ…」バタッ
ヒルトミ「おっと、すまねぇ」
「立てるか?」スッ
女「えっと、ごめんなさい」
ヒルトミ「お前プレイヤーか?」
女「プレイヤー?」
「私はこの街に住むノアだよ」
ヒルトミ「てことは」
カナタの声「そいつはVR世界の住民だ」
ヒルトミ「つまりNPCか」
カナタの声「その様子だと邪神の人格になっているな」
「やはり、私の考えは間違ってなかったか」ブツブツ
ヒルトミ「何一人でブツブツ言ってんだ答えろ」
カナタの声「あぁ、すまない」
「お前の言う通りそいつは独自開発したAIを搭載したNPC」
「会話をすればするほど勝手に学習していき相手の趣味嗜好を読み取り自然な会話ができるようになる」
ヒルトミ「すげーな」
カナタ博士「それだけではないぞ、このゲームには結婚システムもあってなプレイヤー同士だけでなく」
「NPCとも結婚ができる」
「もし気になる相手がいれば仲良くなってプロポーズするといい」
ヒルトミ「それは興味ねぇが」
「それなら、仲良くもない相手がこんなことをしたら?」
ガシッ←ヒルトミはノアを抱き寄せ
ノア「え、なに……」
チュッ←ヒルトミはノアの唇にキスをした
カナタの声「おい、何やってんだお前は!」
ヒルトミ「ゲームなのに、ちゃんとキスした感触あるんだな」
バッ!←ノアはヒルトミを押し退ける
ノア「う…」
「や、やめてよ……こんなこと……」
チュッ←再びヒルトミはノアにキスをする
ノア「ん……」←無抵抗
ヒルトミ「どうだ?」
カナタの声「おい、そんな想定のブログラムはしていないんだ」
「バグでも起こったらどうする」
「軽率な行動は慎め」
ノア「………」
ヒルトミ「何も喋らなくなったぞ、壊れたか?」
カナタの声「ほら見ろ、だから……」
ノア「ノア、こんなことされたの初めて……///」
「なんだろう、胸がドキドキする」
カナタの声「私が作ったAIとはいえ、自分の才能が恐ろしい……」
ヒルトミ「勝手に言ってろ」
ギュゥ
ノア「もう1回…シよ?」
ヒルトミ「よし、もう検証は終わったしこいつを初期化してくれ」
カナタの声「無茶言うな、それこそゲームバランスが崩れるだろう」
ノア「ねぇ、聞いてる?」
ヒルトミ「どうにかしてくれ」
カナタの声「お前がまいた種種だろ」
「責任もって結婚してやれ」
ヒルトミ「だから興味ねーよ」
???「姿は変わっても相変わらずヒールーはモテモテだね」
ヒルトミ「誰だこの女?俺のこと知ってんのか」
???「みんな大好き燈ちゃんだぜ!」
ヒルトミ「なんだメアリーか」
メアリー「ちなみに僕ふたなりね」
ヒルトミ「そんなこと聞いてねぇよ」
メアリー「それにしても神力が使えるなんて驚いちゃったよ、意識体でも力は共有されるんだね」
カナタの声「以前ヒルトミが死んで別の体に憑依した時に神力を使えてたことを聞いてな」
「案の定、お前たちの神力は肉体とは関係ないようだ」
「おそらく神力は魂と深く繋がっているのだろう」
メアリー「なるほど」
ノア「じぃー」ニラム
メアリー「あれれ?僕この子になにもしてないのに嫌われちゃった?」
ノア「この人だあれ……この人は私の」
「あの……この人を奪いに来たのなら許さないから」
ヒルトミ「いや、いつから俺はお前のものになったんだよ」
メアリー「僕そんな趣味はないから」
ギュゥギュゥ←ノアがヒルトミの服を軽く引っ張る
ヒルトミ「なんだよ」
ノア「名前」
ヒルトミ「俺はヒルトミだ」
ノア「ひるとみ?ヒルトミ♪」
メアリー「なんだか嬉しそうだね」
「ずっと表情変わらないけど」
カナタの声「妙だな、NPC全キャラは感情に合わせて表情が変わるように設定してあるはずだ」
「やっぱりさっきのでバグてるんじゃないか?」
ヒルトミ「いや、こいつとぶつかった時からずっと無表情だったぜ」
「元々だろ?」
メアリー「まぁ、これも個性ってことでいいんじゃない?」
「ところで他のプレイヤーとNPCの見分け方ってあるの?」
ヒルトミ「いきなり真面目になんなよ」
「ったく、俺を見つけたみたいにすれば他のやつも見分けれるんじゃねぇの?」
メアリー「僕の場合ヒールーの神力を察知してここに来たから見分けるすべがないんだよね」
「頭上にプレイヤー名とか表記されていたらいいのに」
カナタの声「プレイヤー名は設定すれば表記できるぞ」
ヒルトミ「どうするんだ?」
ノア「さっさから気になったけど」
「誰と話してる?」
メアリー「あれ、カナタ博士の声が聞こえていない?」
ノア「カナタ博士?」
カナタの声「当然だ、お前たちは開発側用のVRのおかげで私と直接会話ができるが」
「他のプレイヤーやNPCには私の声は聞こえない」
メアリー「開発側用のVRと一般のVRの違うところはそこか」
「なんか監視されてる感じで落ち着かないかな」
ヒルトミ「開発側用ならそっちからプレイヤーの情報とか見れねぇのか?」
カナタの声「無理だな」
ヒルトミ「何故だ?」
カナタの声「こんな時代だからなプライバシーにちゃんと考慮してあるんだ私でも他のプレイヤーの情報を見ることは出来ない」
メアリー「世知辛い世の中だね」
カナタの声「話がだいぶ逸れてしまったな」
「プレイヤー名の表記だったな」
「目をつぶってメニューと暗示るんだ」
「メニュー項目が出てくる」
「項目の中から設定を開いてプレイヤー情報を選択すれば表記できる」
ヒルトミ「こうか?」
ピロン←メニューが出てくる
メアリー「なんか出た」
ノア「す、すごい」
カナタの声「お前神力使ってないか?」
「普通は自分でしか見れないはずだが」
ヒルトミ「そうか…難しいな」
サッ←メニューが消える
ヒルトミ「これでどうだ?」
パッ←プレイヤー名が表記される
メアリー「あ、ちゃんと表記されたね」
「これでヒールーだって誰が見てもわかる」
ノア「うんうん」
ヒルトミ「邪魔だな、やっぱり消しておくか」
シュン←表記が消える
メアリー「それでこれから僕たちはどうしたらいいの?」
カナタの声「適当にクエストを進めたり、ストーリーを進めるなり好きに行動してくれて構わない」
「また改良点や気づいたことあったら教えてくれ」
「少し私は離れるから何かあれば呼んでくれ」
カナタ博士「さぁてこれから面白くなる」
「それにしても……ノアといったか」
「NPCにそんなやついたか?」
「……そんなことはどうでもいいか、さっさと準備に取りかかるか」テクテク
〜〜〜〜〜
ヒルトミ「好きに行動しろって言われてもな」
「ジョブも決めれなかったし、冒険も出来ないだろ」
メアリー「忘れたの?僕たち神力使えるんだよ」
「ジョブなんて必要?」
ヒルトミ「あぁ、そうか」
「それじゃあ、装備や防具も必要ないんだな」
「ヌルゲーじゃねぇか」
メアリー「神力あればこの世界でも無双できるからね」
ノア「神力?」
ヒルトミ「こっちの話だお前には関係ない」
ノア「……え」
メアリー「全く、少しはノアに優しくしてあげなよ」
ヒルトミ「俺に指図すんじゃねぇ」
「お前も早くどっか行きやがれ」
ノア「え、やだ」
ヒルトミ「はぁ?」
ノア「ノアがどこにいても自由でしょ?」
ヒルトミ「チッ……」
メアリー「それでヒールーは今後の行動についてもう考えてあるの?」
ヒルトミ「あ?特に決めてねぇな」