ヒルトミの冒険譚 〜俺は1人で冒険したい……〜
ヒルトミ「ここは……?」
「チッ…また面倒なことに巻き込まれたか」
ヒルトミの冒険譚〜俺は1人で冒険したい……〜
この物語はフィクションです。
暴言、暴力的な表現及び、性的表現が含まれています。
東方、バトガ、まどマギ、このすばなどの二次創作が含まれています
苦手の方は読まないでください。
第1章 濡れ衣
ヒルトミ「どうやら俺のいた世界ではないようだな」
「力は、くっ…かなり制限されているな」
「神力が使えない代わりにいくつか技やスキルのようなものは使えそうだが」
「クソが、神力を使えないのは厄介だぜ…」
「とりあえずどうするか、こんなどこかわからん森に放り出されて」
「帰る方法はあるのか?」
「そもそも現実か?」
天の声[残念ながらこれは現実だ]
ヒルトミ「天の声か?お前もいたのか」
天の声[我はナレーション改めてナビゲーターだからな、基本どこにでもいるぞ]
ヒルトミ「それなら話は早い、此処は何処だ?」
「またタイムワームで来た世界なのか」
「どうして俺はこんなところで倒れていたんだ?」
天の声[まぁ落ち着けよ]
[この世界はうp主が作ったボツ世界]
[どういうわけか次元の歪みによりお前らはこの世界に取り込まれたようだ]
ヒルトミ「ボツ世界ねぇ、それならなぜ存在しているんだ?」
「それにお前らってことは俺以外にもこの世界に取り込まれたやつがいるんだな?」
天の声[あいつは例えボツにしても決して削除することはない]
[基本表に出ることは無いがボツはボツとして管理しているんだ]
[推測だが、この世界に取り込んだのはこの世界の意思だろう]
ヒルトミ「へぇ〜」
天の声[お前以外にもこの世界に来ているぞ]
ヒルトミ「だよな」
「誰がいるんだ?」
天の声[それはだな]
???「そこにいるのは誰だ!怪しいヤツめ!」
ヒルトミ「あ?お前こそ誰だよ」
「用がないならさっさと失せろ」
???「君、さては最近噂になってる冒険者狩りをしてる奴だな」
ヒルトミ「あ?」
???「先日冒険ランクⅡ(two)の女性をこの森で襲っただろう!」
「先週はランクⅠ(one)の男性2名」
「先々週は……」
ヒルトミ「何わけのわからないこと抜かしてやがるだてめぇ、それは俺じゃねぇよ」
???「問答無用だ!お前の悪行をここで捌く!」サッ
カキンッ
ヒルトミ「ったく、話は最後まで聞けや!」ブーン
???「大剣使いか、聞いていた情報とは違うみたいだが」
「まぁいい!お前を倒し少しでも安心して冒険者が旅立てるようにするのが俺の役目!」
???「ギルド幹部こと、サ厶ザー・アラバンがお前を止める!」
ヒルトミ「ギルド幹部?はぁ…これまた骨が折れそうだぜ」
天の声[本当にやるのか?]
[今のお前は力をかなり制限されている上相手はギルド幹部だぞ]
[勝ち目はあるのか]
ヒルトミ「正直今の俺ではあいつには勝てないだろう」
「テキトーにやられて降伏でもするかな」
天の声[お前らしいと言えばらしいが]
[捕まったらどうなるか分からないんだぞ?]
ヒルトミ「黙ってろ」
サムザー「何をごちゃごちゃ言っているんだ!」
「そっちから来ないのならこちらから行くぞ!」スッ
カキン キン キン キン
ヒルトミ「くっ…」
(まずいな…ここまで戦力差があるとは)
(気を抜けば殺されるな……)
サムザー「よく俺の攻撃を捌ききった!」
「さすが冒険者狩りをする実力だけの事はあるぞ!」
ヒルトミ(どうせ負けるなら本気を出してから負けよう)
(俺がこの世界でどこまで通用するかも確かめたい)
「お前もやるじゃねぇか」
「ギルド幹部も伊達じゃないと言うことだな」
「次は俺から行くぜ!」
カキン キン キン キン
サムザー「いい腕をしている!」
「さあ!俺にお前の本気を見せてくれ!」
ヒルトミ「スキル発動 【影踏み】」ズーン
サムザー「消えた!?」
スッ
カッキーン
サムザー「驚いたぞ、そのスキルはなんだ!」
ズーン
スッ
サムザー「はああああ!」
カッキーン
ズーン
サムザー「な、なんだ!体が重い…一体何が」
「なんとっ!?影のようなものが俺にまとわりついて!」
スッ
ヒルトミ「終わりだ!」
カッキーン
ヒルトミ「嘘だろ……なぜ動けるんだ……」
サムザー「君の実力認めよう!」
「しかし残念だ、もし別の出会い方をしていればきっと俺たちは仲良くなれたのだろう」
「どうか罪を償ったら冒険者になってみないか!」
ヒルトミ「てめぇ何を言って……」
ドカッ
ヒルトミ「うっ…」バタン
〜数時間後〜
???「サムザーさん、冒険者狩りの男性を拘束したようですね」
「大手柄ですよ、貴方の功績を称え称号とボーナスを贈呈しましょう」
サムザー「感謝いたします!ギルドマスター!」
ギルマス「いえいえ、感謝するのはこちらの方ですよ」
「貴方はギルド幹部になってまだ日は浅いですが、冒険者の頃の貴方の実績は把握していますよ」
「やはり貴方を幹部にしてよかった」
サムザー「は!ありがたきお言葉!」
「ところで」
ギルマス「どうされました?」
サムザー「あの者は今後どうなるのでしょう?」
ギルマス「冒険者狩りの男は明日王国の者が引き取りに来ます」
「彼が犯した罪は男性計5名金品の強奪、数十人に及ぶ女性への性的暴行」
「彼は裁判にかけられ間違いなく死刑でしょう」
サムザー「そうか…」
ギルマス「それが何か?」
サムザー「いえ、なんでもございません…」
「失礼します」
〜〜〜〜〜
サムザー「惜しいものだ」
「あれほどの罪を犯したんだ無理はない…か」
「またいつか戦えると思っていたんだが、そんな日は二度と来ないということか」
「そういえば名前聞いていなかったな」
「俺が認めた男の名前は聞いておきたい」テクテク
〜ギルド内の牢屋〜
天の声[ヒルトミ、生きてるか?]
ヒルトミ「死んでるように見えるんかよ」
天の声[いや、ピクリとも動かないから死んだのかと思ったぞ]
ヒルトミ「チッ…まだ殴られたところがズキズキしやがる……」
天の声[1発でダウンするくらいだからな]
ヒルトミ「あぁ、ありゃダメだ実力の差が違いすぎる」
「神力が使えればあんなやつ瞬殺なんだがなぁ」
天の声[あまり神力に頼るなってことだろう]
[いい教訓になったではないか]
ヒルトミ「さて、此処に閉じ込められている以上、冒険者狩りの犯人じゃないと言ったところで信じてもらえないだろう」
「さて、これからどうする?」
「俺はいつまでこの檻の中で生活しなきゃ行けないんだ?」
天の声[あぁその事なんだが……]
〜〜〜〜〜
ヒルトミ「は?死刑?俺が?」
天の声[ギルマスが言っていたぞ]
ヒルトミ「………」
「………」バタッ
天の声[どうにかならないのか?]
ヒルトミ「無理だろ」
「あの時逃げたところで無駄だっただろうし」
「アイツにあった時点で詰みだろ」
天の声[このまま死刑を受け入れるのか?]
ヒルトミ「全然思いつかねぇ」
「俺は寝る」
天の声[おい!死ぬのが怖くないのか?]
ヒルトミ「別に?自殺じゃなければ死ぬのに抵抗はねぇよ」
天の声[マミさんやミシェルそしてレミリアがそれを聞いたらなんて言うかな……]
ヒルトミ「ぐっ……」
「とりあえず俺は今眠くて何も考えられない」
「起きたら考える」
天の声[全く…まぁお前のことだ何か思いつくだろう]
[見届けるとしよう]
〜〜〜〜
ヒルトミ「zzz」
コツン コツン コツン
ヒルトミ「?」
天の声[誰が来たようだな]
サムザー「君!調子はどうかな?」
ヒルトミ「てめぇは」睨むようにサムザーを見る
サムザー「そう睨まないでくれ!」
「なにも君に危害を加えに来たのではない」
ヒルトミ「何しに来やがった」
サムザー「俺は君の名前を聞きに来ただけだ!」
ヒルトミ「……は?」←呆気
サムザー「君は本当に強い!」
「可能であればもう少し君と戦闘を楽しみたかった!」
ヒルトミ「何言ってんだてめぇ…」
「気色悪ぃな…それを言うために来たのか?」
サムザー「これは失礼した!君は俺が認めた男!」
「その男の名前を聞いておこうと思ってね」
「君に会いに来たんだ!」
ヒルトミ「名前?変わったヤツだな…」
サムザー「是非君の名前を聞かせてほしい!」
ヒルトミ「ヒルトミだ」
サムザー「ヒルトミか!いい名前をしている!」
ヒルトミ「気が済んだなら、さっさと帰れ」
サムザー「正直名乗ってもらえるとは思ってなかったぞ」
「感激した!」
「これは差し入れだ、腹が減ってるだろ食べてくれ」
「さっき買ったばかりだからまだ温かいぞ!」
ヒルトミ「チッ…悪ぃな」
サムザー「気にするな!」
「……一応聞くが、なぜ冒険者狩りをしていたんだ?」
ヒルトミ「………」
サムザー「答えたくないのならそれでいい」
ヒルトミ「濡れ衣だ、俺はやってねぇ」
サムザー「………」
ヒルトミ「俺は別の世界の住人でここへは来たばかりだった」
「そしたらお前に絡まれ現在に至る」
サムザー「本当に君がやったんじゃないんだな」
ヒルトミ「そう言ってんだろ」
「俺が死刑になったところで冒険者狩りしてる奴はまた冒険者を襲うだろう」
「俺がやったって言うなら証拠を持ってこい!」
サムザー「すまなかった!」
ヒルトミ「あ?」
サムザー「人違いで君を捕らえてしまったことお詫びする」
「必ず冒険者狩りしてる奴を捕まえて君の無実を証明しよう」
ヒルトミ「変わったヤツだな」
「俺が言ったことを信じるのか?」
サムザー「どうも君があんな重罪を犯すとは思えない」
「今こうして話していて確信した!」
「待っていてくれ必ず冒険者狩りの真犯人を捕まえてみせる」タッタッタッ
ヒルトミ「本当に変わったヤツだ」
ガサゴソ
パクッ
ヒルトミ「うめぇなぁ」
〜〜〜〜〜
サムザー「ヒルトミが冒険者狩りの犯人でなければ必ずまたここへ現れるはずだ」
「ここで潜伏していればいずれは」
〜〜〜〜〜
ヒルトミ「なるほど、この世界では殺人より盗難や性犯罪が重い罪なのか」
天の声[どうやら冒険者同士での戦闘による殺人などは事故として処理されるらしい]
[ギルドの掟の1つにそう書いてある]
ヒルトミ「そういうのは悪意がなく一方的でない場合に適用されそうだな」
天の声[そうだな、だから盗難や性犯罪は悪意があるとして罪に問われるんだろう]
ヒルトミ「マジとんでもねぇ世界に来ちまったもんだ…」
天の声[お前も罪に問われるなw]
ヒルトミ「あれは合意の元だろうが13以下は手を出してねぇよ」
天の声[結果的にそうなっただけだろう…それはお前がいた世界の法律だろうそれに14歳以上でも成人が未成年に手を出すのは表沙汰になったら捕まるぞ]
ヒルトミ「zzz」
天の声[寝るな!!!]
〜翌朝〜
兵士「冒険者狩りの男、出房だ出ろ」
ヒルトミ「こんな朝早くにどこへ連れていく気だ?」
兵士「王国へ行き、そこでお前の裁判が開かれる」
ヒルトミ「裁判ねぇ」
「こっちには弁護士とか俺の味方はいねんだろ?」
「一方的に死刑にするんだろ?」
兵士「余計な事言うな、さっさと歩け」バシッ
ヒルトミ「痛ってぇな」テクテク
ガチッ ガタン
〜〜〜〜〜
テクテク
兵士「これにさっさと乗れ」
ヒルトミ「檻の馬車か」
〜〜〜〜〜
パカッ パカッ
ガヤガヤ
野次「あれが冒険者狩りをして金品の強奪や異性に性的暴行を加えた犯罪者か」
野次2「いかにもって感じの顔をした奴ね、ケダモノ女の敵よ」
ヒルトミ「これじゃあ公開処刑だな」
ヒューン バシッ
ヒルトミ「痛てぇ…」ドロドロ
「血が…まさか石を投げてくるなんてな……」
野次「死刑になっちまえ!」
野次達「死刑!死刑!死刑!」
ヒヒィーン
ギルマス「ご苦労様です」
「少し冒険者狩りの男性とお話してもいいですか」
兵士「ギルドマスターか、少しなら構わない」
「要件を早く済ませ」
テクテク ピタッ
ギルマス「貴方が最近噂になっていた冒険者狩りをしていた男性ですか」
ヒルトミ「誰だてめぇ、俺に何か用かよ」
ギルマス「これは申し遅れました」
「私はこの街のギルドのマスターをしている、ルシフェル・ファザードというものです」
ヒルトミ「ヒルトミだ」
「ギルドマスターが俺に何の用だ?」
ルシフェル「……どうやら貴方は冒険者ではないようですね」
「一体、何者ですか?」
ヒルトミ「見て分からないのか?」
「俺は一般の人間だ」
「と言っても俺はこの世界の住人ではないがな」
ルシフェル「…なるほど、異世界からの」
「では、なぜこのような罪を?」
ヒルトミ「知らねぇよ、たまたまいた森でいきなり犯罪者と言われサムザーとかいうやつに拘束されたんだ」
「こっちが聞きてぇよ」
ルシフェル「………」
「もしそうだとするなら大変失礼なことをしました」
「申し訳ございません、サムザーの代わりに謝罪させて下さい」
ヒルトミ「サムザーといい、アンタまで俺の話を信じるのか?」
「この世界には変わったやつしかいないのか?」
ルシフェル「私は人の嘘をついているかなんとなくわかるんですよ」
「貴方が嘘をついていないと判断しました」
ルシフェル「貴方が冒険者狩りの犯人では無いことがわかりましたが」
「きっと、真犯人を見つけなければ貴方は解放してもらえないでしょう」
ヒルトミ「んじゃどうすんだよ」
「このまま真犯人が見つからなかったら、俺は死刑の日までずっと怯え続けなきゃいけないのか?」
ルシフェル「その点は御安心ください」
「私から王国へ連絡しておきます」
「裁判はしばらく延期されるでしょう」
「その間私たちは真犯人を捕まえます」
「もうしばらく不自由になると思いますが必ず貴方を解放してみせますよ」
ヒルトミ「そうしてくれるとありがたい」
「多分、既にサムザーは動いていると思う」
ルシフェル「サムザーさんが?」
ヒルトミ「あぁ、昨日俺が閉じ込められていた独房にサムザーが来たんだ」
「俺の話を聞いてさっさと出ていったよ」
「無実を証明してやるってな」
ルシフェル「そうでしたか」
兵士「いつまで話している」
「要件は済んだのか?」
ルシフェル「長々と失礼しました」
「あとはよろしくお願いします」
パチッ
パカッ パカッ
ルシフェル「さて、王国へ連絡と彼」
「ヒルトミさんにお詫びの品を考えなくてはいけませんね」
「真犯人の捜索はサムザーさんに引き続きお願いしましょう」
〜半日が経ち〜王宮
???「え裁判は中止?なんで?」
大臣「恐れ入りますが、今回捕らえられた者は犯人ではないという報告を受けました」
「真犯人は引き続き捜索を続けるとのこと」
???「なんだ、つまんないなー」
「せっかく死刑判決を言い渡せると思ったのに」
大臣「しかし、犯人ではない以上裁判は開けません」
「とはいえ、今回連れてこられる者の待遇はどう致しましょう」
???「さすがに解放する訳にはいかないからね」
「客室に見張りをつけておけばいいんじゃない?」
大臣「かしこまりました」
「では、そのように」
???「ところで、その冒険者狩りの疑いをかけられた男って誰なの?」
大臣「確か名前はヒルトミという男でございます」
???「ヒ、なるほどね」
「気が変わった、そいつを牢屋に閉じ込めておいて」
大臣「しかし…」
???「何か問題?」
大臣「いえ…そのように」
〜〜〜〜〜
〜王宮の牢屋〜
ガシャン カチャカチャ カチャン
兵士「ここがお前の牢屋だ」
「裁判が始まるまで自分が犯した罪を見つめ直すんだな」コツッ コツッ コツッ
ヒルトミ「ふん」テクテク
バッ
ヒルトミ「罪を見つめ直せと言われてもなんもしてねぇのに」
「見つめ直しようがねぇよな、ったく」
天の声[お前は真っ先にベッドへ向かうよなw]
[ゴロゴロしてないと死ぬのかw?]
ヒルトミ「いいだろう別に、俺は基本家にいる時はずっとゴロゴロしてんだよ」
天の声[まぁなんでもいいが、とりあえず死刑にはならなそうで良かったな]
ヒルトミ「俺このまま死んでも良かったけどな」
天の声[お前と言うやつは……]
ヒルトミ「さて、犯人を捕まえるのはあのサムザーってやっとルシフェルと言うやつに任せて」
「真犯人が捕まるのも時間の問題だな」
「ここを出てからのことも考えておくか」
???「無事にここから出れるかな?」
バッ
ヒルトミ「この声は!」
メアリー「ヒールー、ここで会うなんて偶然だね」
ヒルトミ「お前がどうして此処に?」
「それにその格好は…」
メアリー「あー、気づいた?」
「僕ね、この国の王様になったんだ」
ヒルトミ「お前王様???」
「どうなってやがるんだ…」
メアリー「この世界に来た時から既に僕は王様だったよ」
「きっとこの世界での僕達の配役が決まってるんだろうね」
ヒルトミ「なるほど?」
メアリー「それで?ヒールーのその格好は……」
「いつもの服装にフード付きロングコート?」
「なんかユウキテルミみたいな厨二感ある格好だけど、よく分からないね」
ヒルトミ「正直少し気に入ってる」
「そんなことより、お前の権力で俺を解放してくれたり出来ないのか?」
メアリー「うーん、出来ないことはないと思うけど王様だからってなんでも出来るわけじゃないよ」
「それにそれだと面白くないからね〜」
ヒルトミ「くそぉ…楽しんでんじゃねぇよ」
メアリー「ごめんごめん、冗談はこのくらいにして、僕がどうしてヒールーの前に現れたのか話をしよう」
「本来ヒールーじゃなければちゃんとした部屋で監視をつけるつもりだったんだ」
ヒルトミ「は?俺だから牢屋にしたのか?」
メアリー「いやいやw そうじゃないよ」
「監視をつけたら、こうしてヒールーと会うことは出来ないでしょ」
「ヒールーには悪いけど、牢屋に入ってもらった」
「勿論冒険者狩りの犯人じゃないことも知っている」
ヒルトミ「じゃあ早く解放してくれよ」
メアリー「そういうわけにはいかないよ、事情はわかってるけど、真犯人が捕まってないからにはヒールーはまだ容疑者なんだ」
「君が犯人じゃない証拠もないしね」
ヒルトミ「まぁ、そうだな」
メアリー「そうそう、僕はそんなことをいいに来たんじゃない」
「この世界は凄いんだ」
ヒルトミ「俺は来てすぐ捕まったからこの世界のことはまったく知らないんだ」
「何がすごいってんだ?」
メアリー「ここはまさにファンタジーの世界」
「獣人族やエルフ族ドラゴンも存在する」
「そして、この世界のどこかに伝説の武器や防具、宝まであるらしい」
ヒルトミ「それが凄いのか?」
メアリー「………」
「反応薄いね…色んな世界に行き過ぎて感覚バグってるんじゃない?」
ヒルトミ「うるせぇ」
メアリー「まぁいいや、でもこんな本格的な旅がしたいと思わないかい?」
ヒルトミ「別に?そんな冒険者をするくらいならずっとゴロゴロしていたいね」
メアリー「つれないな…」
「冒険すれば元の世界に戻れる手がかりがあるかもしれないのに?」
ヒルトミ「そういうことか、お前は俺に興味を待たせて帰る手がかりを探させようとしてたのか」
メアリー「あら、わかっちゃった?w」
ヒルトミ「人任せにするな、お前が旅すりゃいいだろ」
メアリー「僕王様OK?王様が旅するわけにはいかないでしょ?」
ヒルトミ「それもそうか…」
メアリー「純粋にめんどくさいっていうのもあるけどねw」
ヒルトミ「なんだよそれ…つかどの道俺はこっから出られないんだから」
「冒険なんか出来ねぇよ」
メアリー「もうわかってないな、なんのために僕がここへ来たか分からないじゃないか」
ヒルトミ「でも解放するのは出来ないんだろ?」
メアリー「まぁね」
「解放は出来ないけど、替え玉を用意することは可能だよ」
ヒルトミ「替え玉だと?」
メアリー「入ってきて」
???「初めまして〜、メアリー様に仕えているヒューレです」(。ᵕᴗᵕ。)ペコッ
ヒルトミ「ども、俺はヒルトミだ」
「こいつか替え玉なのか?」
メアリー「そうさ、真犯人が捕まるまでこの子がヒールーになりきってくれるんだ」
「この子すごいんだよ、12歳にして上級魔法の使い手でね」
「多分、今のヒールーや僕よりも強いんじゃないかな?」
ヒルトミ「この世界では魔法も使えるのか」
メアリー「それじゃあ早速だけど、ヒールーの姿になってくれるかな?」
ヒューレ「はいですぅ〜!」シュイーン
ヒルトミ「すげぇ…俺そっくりだ」
ヒルトミ(ヒューレ)「どうです?ちゃんと変身で来てるですぅ?」
メアリー「バッチリだね」
「あとはこの檻からヒールーを出せれば完璧だ」
ヒルトミ(ヒューレ)「まかせるですぅ」
シュイーン!
ヒルトミ「おぉ、檻の外に出られたぞ」
「ヒューレ感謝する」
「あれ?ヒューレは?」
ヒルトミ(ヒューレ)「ヒューレはこっちです」
ヒルトミ「檻の中に!?」
「そうか俺とヒューレの立ち位置を替えたのか」
「お前やるじゃねぇか」
「ヒューレ、メアリー感謝する」
メアリー「でも、ここからが本番だね」
「ヒールーをどうやって城の外に逃がすかが問題だ」
「城内は見張り兵がいっぱいいるからね」
ヒューレ「ヒューレはもう魔力が残ってないですぅ……」
ヒルトミ「大丈夫だ、ヒューレは充分やってくれた」
「後は俺一人で十分だ!」
メアリー「何か方法があるの?」
ヒルトミ「俺のスキルで何とかなるはずだ」
〜〜〜〜〜
ヒルトミ「さて、乗り気はしないが行くか…」
メアリー「頑張ってねー」
「あー、そうそう言い忘れたけど」
「昨日ねソイル達と会ったよ」
ヒルトミ「ソイルも来てたのか?」
メアリー「でもね、僕の姿を見てもなんの反応もなかった」
「僕のことが分からなかったのかな?」
ヒルトミ「どういうことだ?」
メアリー「さぁね、気づかないふりには見えなったけど、もしかしたら僕のことを忘れてるのかもね?」
「あとね、これは話さない方がヒールーのためかな?」
ヒルトミ「…一応聞こう」ゴクリッ
メアリー「あれはギルドのパーティーだったのかな?」
「ソイルと一緒に1人を除いて知ってる顔があったよ」
ヒルトミ「……誰だ?」
メアリー「ミシェルとマミさんだよ」
ヒルトミ「なっ…奴らも来てるのか…」
「それにソイルと」
メアリー「ヒールーとってショックだった?」
ヒルトミ「何が?」
メアリー「もういいよ…」
「それでこれから仲間を探すのかい?」
ヒルトミ「…いや」
「せっかくなら俺一人で旅がしたい」
メアリー「なぜ1人で……」
「まぁいいけどね、でもヒールーひとりじゃ多分すぐに死ぬんじゃないかな?」
ヒルトミ「舐めるな、俺は弱くはない」
メアリー「でも、神力は使えないでしょ?ヒールーより強い人なんてこの世界には腐るほどいるよ」
「戦いに慣れているとはいえ所詮はその程度、過酷な旅になると思うけどね」
ヒルトミ「忠告どうも」
「俺は仲間なんて要らねぇ俺一人で誰にも負けない最強の人類になってやる」
メアリー「やれやれ、厨二病全開だね」
ヒルトミ「最強を目指すのは男のロマンだろ」
メアリー「あー、美味しいよね〜ロマン」
ヒルトミ「それマロンだろ!栗じゃねぇか!」
メアリー「ふはははwwwよくわかったね〜」
ヒルトミ「くだらん…もう行くぞ」
「影踏み」ズーン
メアリー「最強の人類ね〜」
「ヒールー君の冒険傍観させてもらうよ」
「面白くなってきたね〜」
ヒューレ「あっ!!!しまったですぅ!!!」
メアリー「ん?どうしたんだいヒューレ?」
ヒューレ「さっきの魔法は立ち位置を替える魔法じゃなくて身体を入れ替える魔法だったですぅ〜」
メアリー「あっ……」
「…ちなみに変身の効果は?」
ヒューレ「もっても一日で変身は解けちゃいます」
メアリー「……まぁ、気づいたら戻ってくるでしょ!」
ヒューレ「そうだといいのですぅ」
メアリー「魔法が解けたらヒールー驚くだろうね!」
「ますます面白くなってきたね!」
第2章 救出
スッ
ヒルトミ「無事外に出れたみたいだな」
「旅と言ってもな、宛もなく行くのはな…」
「そういえばメアリーが言っていたことが本当ならソイルやミシェルマミもこの世界にいると」
「てことは、他の奴らもこの世界にいるのかもしれんな」
「仲間にするつもりはないがみんなが生きているか安否確認のためにも探してみるか」
「しかし、このまま外を出歩くのはマズイ」
「ここまで連れてこられるのに沢山の人に顔を見られてしまった」
「さすがにこの姿では目立つ、せめて顔を隠すモノを見つけないとな」
天の声[ミッション!顔を探すものを探せ!]
ヒルトミ「なんだよ今の……」
天の声[ノリだよノリ]
[ファンタジー感あっていいだろ?]
ヒルトミ「どこがファンタジー感あるんだよ!要らねぇよ!」
〜城外下町〜
ゾロゾロ
ヒルトミ「街ゆく視線が……」
天の声[考えすぎだ]
[幸い脱獄したことはバレていない]
[指名手配とかもされていないんだ]
[お前の顔も全員が見ていたわけじゃないし]
[人の記憶なんて当てにならないからな]
ヒルトミ「だといいがな、俺結構人の記憶に残る顔なんだが?」
通行人「あれは…」
ヒルトミ「マズイ」タッタッタ |彡サッ!
ヒルトミ「ほら見ろ覚えてるやつがいるじゃねぇか」
天の声[ま、記憶力がいいやつも居るわな]
ヒルトミ「てめぇ…」
「チッ…大通りは目立つ人気のない道を通っていくか」タッタッタッ
テクテクテクテク
ヒルトミ「…」
タッタッタ
???「はぁ……はぁ」
ドーン
???「きゃっ!」バタッ
ヒルトミ「おっと、済まない」
「怪我はないか?」スゥ←手を差し伸べる
???「ごめんなさい、急いでて!」
「ひぃっ!?」
「貴方は……冒険者狩りの……」ブルブル
ヒルトミ「………」
???「お願い…襲わないでください……」
ヒルトミ「ガキを襲う趣味はねぇよ」ガシッ
「ほら立て」
「急いでんだろ?さっさと行け!」テクテク
???「…あの!」
ヒルトミ「あ?」睨みように見つめる
???「私ニーナっていいます……お願い……パパとママを助けて」
〜〜〜〜〜
ヒルトミ「そうか…盗賊がお前の家族を誘拐されたんだな」
「それでお前は命懸けで逃げてきたと」
ニーナ「はい…今でも私を追いかけて来てて…」
ヒルトミ「大変だったんだな、だけどそれを俺に聞かせてどうする?」
「お前、俺が誰なのか知っててお願いしてきてるんだろ?」
「本当に助けてもらえると思ってるのか?」
ニーナ「……やっぱりダメだよね」
「ごめんね、今の話は忘れて」
ヒルトミ「勘違いしてんじゃねぇよ」
「俺が本当に助けてくれると思ってお願いしたのかと聞いているんだ」
ニーナ「うん、なんとなくお兄ちゃんが悪い人じゃないと思ったの」
「きっとお兄ちゃんは冒険者狩りっていうのは何かの間違いだよね!」
ヒルトミ「なぜそう言いきれる?」
ニーナ「女の勘だもん!」
ヒルトミ「な……」
「そうかよ……」
グウー
ニーナ「お兄ちゃんお腹すいてるの?」
ヒルトミ「起きてから何も食べてなくてよぉ」
「きっと空腹なんだろうな」
「まぁ、俺は3日食べなくても平気だがな」
ニーナ「そんなのダメ!何か食べなくちゃ」
「待ってて、すぐ何か買ってくるから」タッタッタッ
ヒルトミ「…行っちまった」
天の声[どうするんだ?このままこの場を離れるか?]
ヒルトミ「いつもの俺ならそうしているだろうな」
「でも…あんな話聞かされたら放って置けねぇだろ」テクテク
「あいつは追われてる身だ、ニーナを追うぞ」
ズーン
〜〜〜〜〜
ニーナ「おばちゃん、パンください!」
パン屋のおばちゃん「お嬢ちゃんこんにちは、お使いかい?」
ニーナ「はい!」
パン屋のおばちゃん「お嬢ちゃん何歳だい?」
ニーナ「7歳!」
パン屋のおばちゃん「あら、思っていたより若いねぇ」
「しっかりしてそうだから10歳くらいかと思ったよ」
「まだ小さいのに偉いねぇ〜」
ニーナ「えへへ」(〃>ω<〃)
パン屋のおばちゃん「どれがいいんだい?うちは沢山種類があるよ」
ニーナ「それじゃあ、これとこれと、あとこれ!」
パン屋のおばちゃん「はいよ」
「全部で銅貨7枚だよ」
ガサゴソ
ニーナ「はい!」スゥ
パン屋のおばちゃん「はいちょうどね」
「これはオマケだよ持ってお行き」
ニーナ「ありがとうおばちゃん!」タッタッタ
ヒルトミ「考えすぎだったか」
ニーナ「〜♪」
ドーン
ニーナ「ごめんなさい!」
男「見つけたぜ小娘!」
男2「俺たちから逃げようなんざいい度胸じゃあないか!」
ガシッ
ニーナ「離して!痛い!痛い!」
男「ちょっと痛い目に合わせてやる」
「逃げ出した罰だ!」
男2「俺たちはな女子供だからってようしゃはしねんだわ」
男「にしてもいい顔してんじゃん」
「成長すれば上玉だぜ」
男2「ボスに黙ってこのまま調教して高く売りつけるか?」
男「来い、俺たちと楽しいことしようぜ」
男2「たっぷり可愛がってやるからよ」
ニーナ「助けて、お兄ちゃん!」
サッ
ガンッ
男「うおおおおぉ!?」ドーン←吹っ飛ばされて壁にぶつかる音
ニーナ「きゃっ!」バタッ
男2「なんだ一体…」
ヒルトミ「このロリコン共め、その子をどうするつもりだ?」
男2「あん?誰だテメェ!テメェにはカンケーねぇーだろ」
シャキ ←大剣を男2の首に突きつける
男2「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィ」
ヒルトミ「もう一度聞くぞ、その子にどうするつもりだ?返答次第では殺す」
男2「俺はな…」
ヒルトミ「いいか?嘘をついても殺す」
男2「このこむ……女の子を捕まえて俺たち…私たちが飽きるまで遊び使ったら、高く売りつけようとしてました……」
「こんなことはもう二度としないのでどうかお許しください……」
ヒルトミ「チッ…」
ゴォン
男2「ぎょへっ!」バタン
ヒルトミ「ニーナ立てるか?」スゥッ
ニーナ「お兄ちゃん!」ガシッ
ヒルトミ「もう大丈夫だ」
〜〜〜〜〜
ヒルトミ「やはりこいつらがニーナの家族を誘拐した連中の仲間の一部か」
ニーナ「うん、私この人たちに追われてたの」
ヒルトミ「そうか」
「一応逃げないように縛っておいたが」
「たまたま近くにロップがあってよかった」
「目を覚ましたら、ニーナの家族の居場所を聞き出すか」
ニーナ「それじゃあ!」
ヒルトミ「元から断るつもりはねぇよ」
「お前の家族を探してやるさ」
ニーナ「ありがとうお兄ちゃん!」
「そうだ、パンを買ってきたの食べて!」
ヒルトミ「いいのか?」
ニーナ「うん、お兄ちゃんに食べてもらいたいの!」
ヒルトミ「あぁ、ありがと」
ニーナ「えへへ」ニコッ
パクッ
ヒルトミ「うめぇなぁ」
ニーナ「良かったー」
グウー
ニーナ「うぅ…」
ヒルトミ「ほら、お前も食え」
ニーナ「でもこれはお兄ちゃんに」
ヒルトミ「元はお前のだ、気にせす食え」
ニーナ「うん!」
パクッ
ニーナ「美味しいねお兄ちゃん!」
ヒルトミ「あぁ、そうだな」
〜〜〜〜〜
男「どういうことだ、なぜ俺は縛られてんだ!?」
ヒルトミ「ようやくお目覚めか、クズが」
男「なんだテメェは」
「俺たちが誰だかわかってやってるのか?」
「ロッテン・ソウル団の仲間が黙っちゃいねぇ」
「こんなことしておいてただで済むと思うなよ」
ヒルトミ「おいクズ、状況をわかってねぇようだな」睨みつけるように見下す
男「な…何をする気だ…?」
ヒルトミ「答えろ、ニーナの家族はどこだ?」
男「ふん、答えると思ってんのか?」
ヒルトミ「んじゃ、コイツを殺してもいいってんなら答えなくてもいい」
シャキ←大剣を振り上げる
男「好きにしろ!俺には関係ねぇ」
ヒルトミ(仲間を見捨てる覚悟か)
「そうか、気が変わった」
「ならお前を殺す」
男「はぁ?なぜ俺が殺されなくちゃいけねぇんだ!」
「コイツなら殺してもいい俺は解放しろ!」
ヒルトミ「なぜお前を殺すか?そんなの簡単だ」
「お前よりも、こっちのクズの方が口が軽いと思ったからだ」
「お前の死体を見ればすんなり答えてくれるだろ」
男「おい待て!本気か!」
「テメェ、マジでそんなことを……」
ヒルトミ「今更怖気ついてるのか?」
「答えないなら殺す定番だろ」
男「……殺したきゃ殺せよ!」
「どうせ口先だけだろ、殺す気なんて微塵もないくせによぉ」
「俺にはわかるぜ、テメェからは殺意を感じねぇ」
「いっちょまえにほざいてんじゃねぇよ!」
ヒルトミ「あぁ、じゃあ遠慮なく」
ジャキッ
男「ぎゃああああ!」
「な……なぜ…だ」ゴボォ
ヒルトミ「俺はな、殺すのに抵抗はない、ただそれだけだ」
「殺意がなくて当然だろ」
「さぁ、死ぬまでたっぷり嬲り殺してやる!」
ジャキッ ジャキッ ジャキッ
男「ぎゃああああぁぁぁっ!!!!!」
〜〜〜〜〜
ヒルトミ「死んだ方がマシだと思うほどの苦痛を味わうがいい」
男「頼む………もう殺してくれ……」
ニーナ「この人どうなっちゃったの!」
ヒルトミ「こいつは夢の中で永遠に殺されている」
「夢と言っても、五感全て感覚はあるんだがな」
「このまま放っておけばいずれは死ぬな」
ニーナ「お兄ちゃんこの人をもう許してあげて」
ヒルトミ「いいのか?お前を酷い目に遭わせようとしたクズだぞ」
「そして、お前の家族を誘拐した連中だ」
ニーナ「それでも、可哀想だから……」
ヒルトミ「そうか」スッ…
男「うぅ……」
ヒルトミ「行くぞ」テクテク
ニーナ「どこへ?」
ピタッ
ヒルトミ「決まってんだろ」
「お前の家族を救いにだ」
ニーナ「でも、パパとママのいる場所がまだわからないよ」
ヒルトミ「大丈夫だ、居場所はわかった」
「ついてこい」
〜ギルド教会〜夜
ルシフェル「サムザーさん例の冒険者狩りの件ですが」
サムザー「ギルドマスター!実は…」
ルシフェル「存じております」
「貴方が捕まえた彼は犯人ではなかったですね」
サムザー「ご存知でしたか」
ルシフェル「えぇ、今朝彼にお会いしましてね」
「事情を聞けばいきなり犯人だと決めつけられたと」
「そして、彼が嘘をついていないと判断しました」
サムザー「申し訳ごさいません!」ウオォ
「これ俺の失態ですどうか重い罰を!」
ルシフェル「……いえいえ、間違いは誰にでもあります」
「どうか気を落とさないでください」
「この件が片付いたら、彼に一度謝罪をしておいて下さい」
サムザー「ははぁ!」ビシッ
ルシフェル「さて、ここからが本来です」
「先程、一般の冒険者からある情報を受けましてね」
「冒険者狩りの犯人はどうやら1人ではなさそうなんです」
サムザー「それは本当ですか!?」
「真偽は定かではありませんが、裏で大きな団体と繋がりがあるという噂が冒険者の間で持ちきりのようです」
サムザー「だとしたら尚更一刻も早く冒険者狩りを捕まえなくては」
ルシフェル「えぇ」
「今回の件は貴方だけでは荷が重い」
「何が起こってからでは遅いのです」
「すぐに他のギルド幹部や実力のある冒険者、他のギルド教会に救援申請を出しましょう」
「念の為王国にも連絡しておきます」
「何事もなければいいのですが」
「なんだか胸騒ぎがします」
〜ロッテンソウル団アジト〜夜
ドッカーン
タッタッタッ
団員1「なんだ、今の爆発は」
ヒルトミ「ここかぁ?クズ達が蔓延ってるアジトは?」
団員2「貴様がやったのか!」
「此処が何処かわかって来てんのか?」
ゾロゾロ
ヒルトミ「チッ…クズがうじゃうじゃと」シャキッ←構える
ニーナ「うぅ…」ニギッ
ヒルトミ「俺から離れんじゃねぇぞ」
団員1「こいつは傑作だ!」
「侵入者が来たと思いきや子連れかよ」
団員達「あははははっ!」
団員1「俺らも甘く見られたものだ」
「ロッテンソウルのアジトに入ってきたことを後悔させてやる」
「先ずはテメェをぶっ殺したら、そのガキをかわいがってから一緒にあの世へ送ってやるよ」
ヒルトミ「どいつもこいつも、ロリコンしかいねぇのか」
「どんだけ飢えてんだ?」
団員1「殺っちまえ!」
ゾロゾロ
ヒルトミ「ニーナ目を瞑れ、此処は地獄と化す」
ニーナ「ん……」←目を瞑る
ジャキッ
団員2「ゔぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙腕が!!!」
ヒルトミ「おら、落し物だよ!」
ブーン←切り落とした腕を投げつける
団員2「ぐふぅ……」バタン
団員3「貴様!」
シュッ
ヒルトミ「遅せぇよ」
ジャキッ
団員3「ぎゃああああ!」バタバタ
団員4「舐めてんじゃねぇ!」
ヒルトミ「動くな、ズレるぞ」
団員4「なっ……」プシュッ
「体がズレて」バタン
ヒルトミ「言っておくが、俺は殺しに抵抗はない」
「殺されたくなければ、この子の家族の場所まで案内しろ」
団員1「な、こいつ…強すぎだろ」
「なんなんだよこいつはよぉ!」
ヒルトミ「所詮数が集まっただけの雑魚軍団」
「俺に勝ち目はない」
「大人しく言うことを聞け」
団員1「くっ……覚えておけ」
「このアジトはロッテンソウル団のアジトの1部に過ぎない」
「貴様が考えているよりこの団体は大きい」
「ロッテンソウル団に喧嘩を売ったんだ、全世界を敵に回したと言っても過言ではない」
「貴様のこと上に報告させてもらうからな」
「あのお方なら、どんな手段を使ってもお前を殺しにかかるだろう、殺されるだけで済めばいいがなぁ〜、そしたら貴様は終わりだ」
グサッ
団員1「ぐああああ…」
バタン
ヒルトミ「俺はニーナの家族がどこにいるか案内しろと言ったんだ」
「どうでもいいこと話してんじゃねぇよ」
ニーナ「もう目を開けてもいい?」
ヒルトミ「もう少し瞑ってろ」
ガシッ
ニーナ「え!」
ヒルトミ「目を瞑ったままだと歩けないだろ」
「俺が連れてってやる」
ニーナ「」チラッ
ヒルトミ「…」テクテク
ニーナ「………」
〜〜〜〜〜
団員「ぎゃああああ!」バタン
ヒルトミ「この部屋で最後か」
サアッ
ヒルトミ「牢屋か?ここにニーナの家族が?」
ニーナ「パパ!ママ!いたら返事して!」
男「ニーナ…?ニーナなのか…」
ニーナ「パパ?…パパ!」タッタッタッ
ニーナの父「無事でいてくれたかニーナ!」
ニーナ「パパ閉じ困られてるの?」
ニーナ父「あの時ニーナを逃がした時、ここへ連れてこられてここに拉致されたんだ」
テクテク
ニーナ父「おや、そちらの方は?」
ヒルトミ「下がってろ」
シャキシャキン カランカランカラン
ニーナ父「ニーナ!」
ニーナ「パパ!」
「あのね!お兄ちゃんがね!助けてくれたの!」
ニーナ父「そうだったのか!」
「ニーナの父のアルベルトです」
「娘や私を助けてくださりありがとうございます」
ヒルトミ「俺の役目は終わったな…」テクテク
アルベルト「待ってください!何がお礼を!」
ニーナ「待ってパパ!ママはどうしたの!」
アルベルト「それが…」
ヒルトミ「ん?」
「話してみろ」
アルベルト「……はい」
〜〜〜〜〜
ニーナ「嘘!ママが悪い人に売られちゃう!?」
アルベルト「奴隷として売りに出される船か明日の港から出航する」
「私が聞いた話では外国へ売り飛ばされるらしい」
ヒルトミ「チッ…そういうことかよ」
「ロッテンソウル、えげつねぇ事してんな……」
アルベルト「私はジェシカを助けれなかった……」
「もう妻とは二度と会えない……」ウゥ…
ニーナ「そんな…ママ!ママあぁぁ!」ポロポロ
ヒルトミ「諦めんのかよぉ、明日出航なんだろ?だった出航する前に奴らを潰せばいいじゃねぇか」
アルベルト「無茶です…彼らには狂犬がついています」
ヒルトミ「狂犬?」
アルベルト「連中が話していたのを聞いたのですが、なんでもある時は冒険者を襲い金品を盗み、ある時は上玉の女を襲いらしい」
「それでいて、基本は傭兵をしていて腕も立つと」
「そのことから戦場の狂犬と言われているそうです」
ヒルトミ「………」
「そうか…」
アルベルト「だから私にはどうすることも……」
「もう諦めるしかないのか」ドン
ニーナ「パパ…」
天の声[きっと冒険者狩りの犯人だな、どうする?話を聞く限りやつはかなり強そうだぞ]
[どれくらい強いかは想像出来ないが、サムザー並に強いと考えた方がいいだろう]
ヒルトミ(だな、これ以上首を突っ込むのは賢い判断ではない)
(命を懸けてまでこいつらを助ける義理はねぇ)
(だけど……)
ヒルトミ「おい、アルベルトと言ったか?」
アルベルト「はい…」
ヒルトミ「俺はニーナの家族を助けたい思いにとパン免じてここまで付き合ってやった」
「アンタ、俺と取引しないか?」
アルベルト「…それはどういう」
ヒルトミ「報酬は銅貨7枚、そして出来たら食事を用意してくれ」
「そうすれば、アンタの嫁さん助けてやるよ」
アルベルト「そんな……いいんですか?」
ヒルトミ「あぁ、その狂犬ってやつはもしかしたら俺の仇かもしれねぇ」
「ソイツをぶっ潰すのはお前の依頼と俺の目的は一致する」
「取引するか?」
アルベルト「お願いします、どうかジェシカをお救いください」<(_ _)>
〜???港〜翌朝
ヒルトミ「ここが出航予定の港だな」
天の声[おいおい、いくらこの時間誰も居ないからってこんなに堂々とやってんのか]
ヒルトミ「それな、隠す気ないだろ」
「こんなに誘拐された奴らがいるのか」
パチンッ
団員「おら、奴隷共さっさと歩け!」
ゾロゾロ ゾロゾロ
女「お願いします、旦那と娘の元へ帰してください」
団員「何だこの女は、さっさと船に乗り込め」
パチンッ パチンッ パチンッ
女「…やめてください…帰してください」
団員「よく見たらいい女じゃねぇか」
「お仕置してやるよ、こっちへ来い」
ガシッ
女「いやぁぁ!離して!」バタバタッ
団員「暴れんじゃねぇ」
バシッ
女「うっ……ニーナ…アルベルト…」ウゥ…
ヒルトミ「あの女か?」
天の声[間違いなさそうだな]
ヒルトミ「倉庫に入っていったようだな、乗り込むぞ」
〜倉庫〜
団員「おら!」
ビリビリッ
女「きゃぁ!!!」
団員「顔も良ければスタイルもいいってか」
「俺のもこんなに膨張してきたぜ!」
「気持ちよくしてやるよ!だから楽しませてくれよ」
女「やめてぇえええ!」
ズブッ
女「いやああああ!!!」
団員「おら!静かにしろ!」
ズブッ ズブッ
団員「顔もいいスタイルもいい、しかも名器ときた!」
ズブッズブッ
女「………」ポロポロ
「ごめん……なさい……アル……ベル……」ポロポロ
団員「うおおおおぉ、最高だぜ!」
バンパンッ パンパンッ
グサッ
団員「ぐはっ…」ドロドロ
ヒルトミ「どうした最高なんだろ?」
「続けろよ」
団員「な、なんだ……」
「う、うわあああああ!痛てぇ!痛てぇよぉぉぉ!」
ヒルトミ「お前が続けないなら俺は続けるぞ」
グサッ
ヒルトミ「お前は地獄にすら行けない」
「永遠に死のループを受けろ」
ジャキッ!
団員「あ……が………」バタン
ヒルトミ「チッ…胸糞悪ぃ…」
「…可哀想に気を失っているようだな」
天の声[あいつマジかよ、倉庫に入っていったと思いきやいきなりおっぱじめたからな]
ヒルトミ「ジェシカといったか、トラウマにならなければいいが」
「こういう時神力を使えたらな」
天の声[これはお前のせいじゃない、自分を責めるなよ?]
ヒルトミ「あぁ、わかってる」
「結局、狂犬はいなかったな」
「せっかくだ、誘拐された他の奴らも助けよう」
ガシッ
テクテク
天の声[ヒルトミ避けろ!]
ヒルトミ「!?」サッ
ドカッ ガガガガ←地面がえぐれる
???「おぉ、今のを避けるか」
「ただのもやし野郎だと思ったが」
「なかなか、楽しめそうだ」
ヒルトミ「………」
「なんだ今の…全然見えなかったぞ…」
???「その女を置いていけ」
「そいつは隙を見て俺がやろうとしてたやつだ」
ヒルトミ「……どうなってんだこの世界は」
「寄って集って女を……」
「てめぇらは下半身に脳がついてんのか!」
???「男というもんは皆同じだろう!三度の飯より女!」
「それとも?お前は男じゃねぇのか?あん!」
ヒルトミ「理性のかけらもないクズが!」
「てめぇらは生きる資格はない!」
天の声[それ…お前が言う?]
ヒルトミ「ぐっ……」
天の声[あ、すまん]
???「理性?なんだそりゃ?」
「わけのわからないことを言ってないで」
「さっさと女を渡せ」
「そうすりゃ、命は保証してやるからよぉ〜」
ヒルトミ「そのつもりはないくせに、殺意隠しきれてねぇぞ」
「ジェシカは渡さねぇ!」
???「このライ様を怒らせたことを死んで後悔しやがれ!」タッ!
ヒルトミ「影踏み」
ズーン
ライ「消えた?」
スッ
ヒルトミ「とりあえずジェシカはここへ」
ズーン
スッ
ヒルトミ「はああああ!」サッ
ライ「そこか!」
ガシッ
ヒルトミ「馬鹿な…こいつ素手で!」
ライ「うおおおおぉ!!!」
ブーン
ヒルトミ「うおぉ!?」
シャキッ ギギギギギギザザッ
ヒルトミ「なんて馬鹿力だ」
「なっ!?」
バコンッ ゴゴゴゴゴ
ヒルトミ「くっ……」カタカタカタカタ
ライ「やるねぇ〜」
「その大剣、素晴らしい性能だ」
「そこらの大剣なら、今頃俺様の拳で折れるんだがなぁ〜」
「お前を葬ったら、戦利品としてありがたく頂戴してやるぜ」
ヒルトミ「チッ……」
バシッ バシッ
ライ「なんだ?今の蹴りは?」
ヒルトミ「化け物め!」
ライ「おら!」
バコンッ
ヒルトミ「うぅ……腕が痺れて…」
バコンッ バコンッ バコンッ
ライ「おらおら!さっきの威勢はどうした!」
ヒルトミ「影踏み!」
ズーン
ライ「チッ!またさっきの小細工か!」
「無駄だ!大人しく殺されろや」
スッ
ライ「そこォ!」
バコンッ←拳が腹に食い込む
ヒルトミ「ぐはっ…!?」
ズーン
スッ
ライ「おらおら!」
バコンッ←拳が顔面に食い込む
ヒルトミ「ぶはっ!?」
ズーン
ヒルトミ(マズイ……甘く見ていた……)
(正直、冒険者狩りするようなやつはただイキってるだけの小悪党だと思っていた……)
(こいつ純粋な力ではサムザーと比べ物にならないくらい強い……)
(そうか、純粋な力!)
俺は力を能力を解放した!
スッ
ライ「そこか!」
ドッカーン!
ライ「なんだと!?」
ヒルトミ「どうやら、俺はほんの少しだけ神力解放できたようだ」
「だけど完全ではない」
「だけど…お前を倒すのに十分だ!」
ライ「そんな馬鹿なことがあるか!」
ガシッ
ライ「ん!?」
ヒルトミ「言っただろお前を倒すのは十分だと、もう俺には勝てない」
ライ「ありえんありえんありえんありえん!」
「俺様より強いやつなんて認めんぞ!」
ヒルトミ「うるさいな」サッ
ドカッ
ライ「ああああああああぁぁぁ!?」
「痛てぇ……痛たい……?……この俺様が!?」
「こんなもやしなんかの攻撃が!」
ヒルトミ「………」
グサッ
ライ「ぐほぉ……」ゴボゴボ
「なぜだ……刃を通さないこの俺様身体がああああああああぁぁぁ!」
ヒルトミ「さぁ、地獄よりも恐ろしい死のループへようこそ」
ライ「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」バタン
ヒルトミ「こんな神が作った化け物のようなやつがいたなんてね……」
「ライよりも強いやつがこの世界に沢山いると考えるとゾッとしますね〜」
天の声[おい、ヒルトミ……その口調は]
ヒルトミ「あ?」
「どうかしたのかよぉ」
天の声[いや、なんでもない 気のせいか?]
[それにしても、お前よく倒せたな!]
ヒルトミ「正直、夢中になっていてほとんど覚えていないんだ」
「俺何かしたか?」
天の声[無意識に制限されていた神力が開放したと言うのか?]
ヒルトミ「マジ?」
パチッ
・・・・・
ヒルトミ「なんともならないぞ?」
天の声[………]
[とにかく、終わったんだジェシカと囚われている人を助けるんだろ?]
ヒルトミ「あぁ……」
ライ「うぅぅぅ……はははは」ニコッ
ヒルトミ「……なんでこいつ何度も殺されているのに笑ってんだよ」
〜ニーナ家〜昼
ジェシカ「うぅ……私」バサッ
「……あら、ここって」
ニーナ「ママ!」
ジェシカ「ニーナ?ニーナなの?」
「あぁ、ニーナ」ダキッ
「もう、会えないと思ってたわ……うぅ……うぅ」
アルベルト「ジェシカ、おかえり」ダキッ
ジェシカ「アルベルト」ギュッ
アルベルト「私たちはこれからもずっと一緒だ」
ニーナ「ずっと一緒!」
ヒルトミ「はぁ、俺の役目も今度こそ終わりだな」
ジェシカ「あら?そちらの方は?」
アルベルト「紹介するよこちらは私たち家族をを救ってくれたヒルトミさんだ」
ジェシカ「そう……」
アルベルト「まだ混乱しているようだね」
ヒルトミ「んじゃ、俺はもう行くぜ」
アルベルト「本当にありがとうございました」
「これは報酬です」スッ
ヒルトミ「チッ……1枚だけもらっておく」スッ
ポンッ←残りはテーブルに置いた
ヒルトミ「じゃあな」テクテク
アルベルト「ヒルトミさん!お待ちください……」
ガチャ ガタンッ
アルベルト「行ってしまった……」
ニーナ「お兄ちゃん待って!」タッタッタッ
アルベルト「ニーナ…」
ガシッ ガタンッ
〜〜〜〜〜
ニーナ「待って、待って!お兄ちゃん!」
ヒルトミ「ニーナ?」
ニーナ「お兄ちゃん!パパとママを助けてくれてありがと!」
ヒルトミ「あぁ、お前の父さん母さんが無事に帰ってきて良かったな」
ニーナ「ニーナね、女の勘間違ってなかった!」
「お兄ちゃんは悪い人じゃなかった!」
ヒルトミ「そうか」
ニーナ「これ私が握ったの!食べてくれる?」
ヒルトミ「握り飯か」
ニーナ「しゃがんで」
ヒルトミ「おう」スゥ
「これでいいのか?」
ニーナ「はい」
ヒルトミ「あぁ、ありがたく…」
チュッ
ヒルトミ「なっ!?」
ニーナ「えへへへ」
「私ね、大きくなったらお兄ちゃんと結婚する!」タッタッタッ
クルッ←振り返る
ニーナ「また会いに来てね!お兄ちゃん!」バイバイ
ヒルトミ「………」ボー
天の声[お前子供にモテモテだな]
ヒルトミ「うるせぇ!」サッ
「何が子供にモテモテだ……」ブツブツ
テクテク
天の声[結局あのライってやつはどうすんだ?]
ヒルトミ「さぁな、今頃は…」
〜王宮〜ライを倒した直後
メアリー「どうやら、ヒールーは上手くやってくれているようだね」
「ライを倒しちゃうなんてやりますね〜」
テクテク ビシッ
兵士「お呼びでしょうか、王様」
メアリー「来たか」
「例の冒険者狩りの犯人だけど」
「居場所がわかったよ」
兵士「ほ、本当ですか!?」
メアリー「港の倉庫だよ、すぐギルド教会の者を向かわせるよう言っておいて」
兵士「御意」ビシッ
テクテク
メアリー「さてと続きを見ようか」
第3章 仲間
天の声[少し遠回りになってしまったが、ようやく冒険が始まるんだな]
ヒルトミ「そういえば、まだ始まってすらなかったんだな」
「始まってもないのにライとかいうボス級の敵と戦う羽目になったんだが……」
天の声[まあ……そういうこともあるさ]
ヒルトミ「ねぇよ!」
「そんなことあってたまるか!」
天の声[いや、あったんだよ!]
ヒルトミ「出発する前に風呂入りてぇな」
天の声[あぁ、それならギルド教会で冒険者は風呂入れるぞ]
ヒルトミ「俺冒険者じゃねぇけど、登録すりゃ使えるのか?」
天の声[冒険者は結構待遇いいぞ、冒険するなら登録しといた方が得だ]
ヒルトミ「ギルド教会か」
〜ギルド教会〜夕方
受付嬢「冒険者登録ですね」
ヒルトミ「頼む」
受付嬢「それではこちらの登録シートにプロフィールを書いてください」
ヒルトミ(名前はヒルトミ)カキカキ
(性別はヒルトミ)カキカキ
天の声[バカテスの秀吉か!]
ヒルトミ(……男)サッサッ カキカキ
(年齢は20)カキカキ
天の声[実年齢で書けよ!]
ヒルトミ(いちいちうるせぇな……)サッサッ カキカキ
(武器は大剣)カキカキ
(実績?なんて書きゃいいんだよ)
天の声[ニーナの家族や人身売買されそうになってる人の救出、狂犬を倒したことを書けばいいんじゃないか?]
ヒルトミ(それを書くか)カキカキ
(最後は一言文か…こういうのが1番苦手なんだよなぁ)
(何を書くか)ンー
天の声[恋人募集中でww]
ヒルトミ(ふざけすぎだろ……)
(ありだな、書いておくか)カキカキ
天の声(こいつ本当に書きやがったwww)
ヒルトミ「書いたぜ」
受付嬢「お預りしますね」
「データをカードに入力していきますので、しばらくお待ちください」
「名前はヒルトミさん」
「性別は男性」
「年齢は23歳」
「メイン武器は大剣」
「実績は……」
「あの、人身売買による誘拐された人達の救出と書いてますがもしこの実績が本当なら今頃大騒ぎになってると思うのですが?」
ヒルトミ「そのことか、いずれわかる」
受付嬢「は、はぁ……」
「では、この狂犬を倒したというのは?」
ヒルトミ「傭兵のライってやつ知ってるか?ソイツと戦うことになってな、死闘の末何とか倒したんだ」
受付嬢「ライって……まさか!」
「ぷッ……あはははは!」
ヒルトミ「な……何が可笑しい」
受付嬢「し、失礼しましたw そうですかあのライさんをあははは!」
天の声[どうやら信じてないな]
冒険者達「あははははは!」
ヒルトミ「チッ……」
冒険者「アンタ嘘はいけないぜ」
ヒルトミ「なんだよいきなり……」
冒険者「すまんな、聞こえてしまってな」
「あれだろ、ライって戦場の狂犬だろ」
「味方なら凄く心強いが、敵対したら最後、命の保証はない」
「今まで誰にも負けたことがない最強の傭兵だと聞くぜ」
「アンタみたいな弱そうなやつがやり合ったらバラバラにされて殺されるのがオチだぜ」
ヒルトミ「そうか、あいつそんなに強かったのか」
受付嬢「ヒルトミさん、非常に申し上げにくいのですが、真実でない事を書くのは良くないですよ」
ヒルトミ「信じていないのならそれでいい、俺は嘘は書いてない」
受付嬢「残念ですが、事実の確認ができない以上カードに入力することはできません」
ヒルトミ「そうか……」
受付嬢「他に実績と言えるものはなさそうなのでこちらは白紙にしておきます」
「では、一言文を」
ドーン
少年「号外号外!」
「あの戦場の狂犬が冒険者狩りの犯人だったんだ!」
「さあ、買った買った!」
冒険者「一つ貰おうか!」
冒険者2「おい、こっちにもくれ」
冒険者3「こっちも!」
冒険者「えっと、なになに」
「なっ!?」
「おい、ここに書かれてるフードを被ったコート姿の男ってアンタのことか!」
ヒルトミ「今朝のことだぞ……もう情報が回ってるのか……?」
冒険者「なあ、本当ににアンタが狂犬を倒したのか!?」
受付嬢「ちょっと私にも見せてちょうだい」バサッ
冒険者「おい、自分で買えよ!」
受付嬢「嘘……全部本当の事……」
ヒルトミ「だから、そう言ってんだろ」
冒険者「アンタすげーじゃねぇか!」
「人は見かけによらないんだな」
「見直したぜ!」
受付嬢「ヒルトミさん、先程は大変失礼いたしました」
「確認が取れたのでカードに入力しますね」
ヒルトミ「あぁ」
受付嬢「それでは、一言文を……えっと」
「はい!全ての入力が完了しました」
「こちらは冒険者カードです!」
「続いてこちらのカードについて説明しますね」
「このカードに登録した本人が触れると今のレベルと全ステータスが自動的に読み取ります」
「レベルが上がれば当然強くなり、ステータスも上がります」
「上がったレベルとステータス新しく上書きされます」
「注意点としては、個々のポテンシャルで強さが変わりますので例え同じレベルでも強さが全く異なります」
ヒルトミ「わかった」
受付嬢「では、カードをお渡しします」
ヒルトミ「ども」
受付嬢「ヒルトミさんならきっとすぐにいい人ができますよ」コソコソ
ヒルトミ「別に本気でほしいわけじゃねぇよ……」
冒険者「あの狂犬を倒したんださぞかしレベルが高いんだろうな」
ヒルトミ「……7」
冒険者「は?」
ヒルトミ「レベル7」
冒険者「おいおいおい、冗談きついぜw」
「見せてみろよ」
スッ
冒険者「……マジ?」
ヒルトミ「事実だろ」
冒険者「いやいやいや……カードの不具合だろ……」
「ならステータスは?」
ヒルトミ「ATK266 DEF77 INT345 MGR155 AGL188って書いてあるが」
「これって強いのか?」
冒険者「なんちゅうデタラメなステータスだ……」
「この中ではDEFが比較的に低いがそれでも平均以上だぞ……」
「アンタナニモンだ?」
ヒルトミ「さぁな」テクテク
冒険者「ちょっと待てよ!」テクテク
「どこへ行くんだ?」
ヒルトミ「風呂」テクテク
冒険者「そうか…」
ポンッ
ザワザワ
ヒルトミ「な、なんだ!?」
冒険者「おい、アンタ……姿が」
ヒルトミ「どうした?何が起きた!」
「お前そんなに背高かったか?」
冒険者「アンタが縮んだんだよ!」
「違うそうじゃない、アンタ女だったのか」
ヒルトミ「は?」
鏡
ヒューレ(ヒルトミ)「なんじゃこりゃ!」
〜王宮〜夜
メアリー「ご苦労さま、冒険者狩りの犯人を捕まられたのはヒールー君のおかげだよ」
「大手柄じゃないか」
ヒルトミ「ったく、いきなりヒューレの姿になってびっくりしたぞ!」
ヒューレ「ごめんなさいなのですぅ……」
ヒルトミ「でもなぜ、入れ替わっていたのに戦えたんだ?」
ヒューレ「あの魔法は姿が入れ替わるだけで力と能力は全て受け継ぐのですぅ」
ヒルトミ「そうか」
メアリー「あははははw」
ヒルトミ「笑うんじゃねぇ!」
「クソ……もう俺は行くぞ」テクテク
メアリー「待ってヒールー」
「今回の件でカルミナのギルドマスターが話があるみたいだよ」
ヒルトミ「誰だ?」
メアリー「ヒールーが最初にいたギルド教会のギルドマスター、確かルシフェルと言ったかな?」
ヒルトミ「あぁ、ルシフェルが」
メアリー「気が向いたら行ってみたら?」
「あれだったら、カルミナまで馬車を手配するけど」
ヒルトミ「頼むわ」
メアリー「今日はもう遅いから明日にしたら?」
「いくら隣町といっても馬車で4時間は掛かるからね」
ヒルトミ「やけに親切だな、何が裏があるんじゃないか?」
メアリー「友達じゃないか、助けるのは当然でしょ?」
ヒルトミ「……怪しい」
メアリー「まあまあまあまあまあまあ」
ヒルトミ「6回言うな」
メアリー「あ、そうそう」
「カルミナのギルド教会でカオスさんが冒険者登録をしているみたいなんだ」
「運が良ければ会えるかーもしれないね」
ヒルトミ「やけに情報通だな」
「なんでそんなこと知ってんだよ」
メアリー「この国の王様だからね、沢山情報が入ってくるんだ」
(それだけじゃないけどね)
ヒルトミ「そうか」
「俺はもう行くぞ、明日また来る」
メアリー「あれ?泊まっていかないの?」
ヒルトミ「俺には豪華すぎて居心地が悪い」
「宿屋に行く」テクテク
メアリー「そうかい」
ガチャ バタン
メアリー「天の声さんいる?」
天の声[なんだのだ?]
メアリー「ナビゲーターをクビにされたくなかったらしっかりヒールーのサポートをするんだよ」
天の声[……善処する]
メアリー「ナレーションの仕事をクビにしてナビゲーターの仕事を任せたけど心配だな〜」
「さて、僕も色々することがあるからね」
「これから忙しくなる」
〜城の門の前〜
テクテク
冒険者「おお、どうやら元の姿に戻れたようだな」
ヒルトミ「……」テクテク
ガシッ
冒険者「待てよ、なぜ無視すんだよ!」
ヒルトミ「はぁ……なぜお前がここにいる」
冒険者「アンタをスカウトしたくてな、待たせてもらってた」
冒険者2「わぁー、この人があの狂犬を倒したの!すごいすごい!」
冒険者3「リスペクト……」
ヒルトミ「なんだこいつらは」
冒険者「そういえば、紹介がまだだったな」
「俺の名前はエマ・ラピスだ、見ての通り女冒険者だぜ」
「こっちがミラだ」
ミラ「ミラ・ニーツだよ!」
エマ「ミラはこう見えて怒らせると手がつけれなくなる」
ミラ「えぇ、そんなことないよー」
「本気にしないでね!」
エマ「最後に」
冒険者3「ルーチェ……」
エマ「ルーチェは口数は少ないが、この中では1番しっかり者で頼りになる存在だ」
ヒルトミ「あ、そう」
エマ「興味なさそうだな……」
ヒルトミ「俺に何の用だ?」
エマ「さっきも言ったが、アンタをスカウトしに来たんだ」
「見ての通り俺たちのパーティーは最近冒険者登録したばかりの女しかいない底辺冒険者だからな、ちょうど男手が欲しかったんだ」
「アンタのような実力のある冒険者なら心強い」
「どうか、俺たちの仲間になってくれ!」
ヒルトミ「断る」
エマ「なぜだ!アンタもわかるだろ」
「確かにアンタは強いかもしれないが、仲間は必要だ」
「まさか1人で冒険に出るわけではないだろう?」
「それとも俺たちが無名パーティーだから断ってるのか?」
ヒルトミ「そうではない、俺に仲間なんて必要ないだけだ」
ミラ「えー、なんでなんで!」
エマ「もしかして傭兵志願か?」
「それならそれでいい、報酬は依頼の5割でどうだ?」
ヒルトミ「いや、傭兵なんざ興味無い」
「報酬もいらない」
エマ「なぁどうすれば仲間になってくれるんだ?」
ヒルトミ「悪いが他を当たってくれ」テクテク
ガシッ
ミラ「私たちか弱い女の子なんです」
「私たちが冒険に出たらモンスターに襲われて殺されちゃうかもしれないの」
「お願い」ウルウル
トン ←ヒルトミの手を掴み胸に押し当てる
ヒルトミ「………」
ガシッ
モフッ←ヒルトミのもう片方の腕を掴み胸に押し当てる
ルーチェ「女の武器……」
エマ「もし、アンタが仲間になってくれるならその……か、身体で報酬を支払ってもいい……」
「だから、どうか頼む!」
ミラ「エマちゃん大胆!」
「それなら……私も」ギュッ←掴んた手を強く握る
ヒルトミ「チッ……」
天の声[なぁ、もういいんじゃないか?]
[変な意地を張るより仲間を作った方がいいぞ]
[いざという時、助けてくれる存在になるかもしれん]
ヒルトミ「離せ」
ミラ「やだ!」
ヒルトミ「離せと言っている」
パッ
ヒルトミ「………」テクテク ピタッ
「……出発は明後日の朝だ、それまでに準備しておけ」
エマ「てことは!」
ヒルトミ「勘違いするな、俺はお前らを仲間と認めたわけじゃない」
「しばらくのは共に行動してやるけど」
「お前らに新しい仲間が出来るまでの間だ」
テクテク
エマ「そうか…」
ルーチェ「行っちゃった……」
エマ「まぁ、アイツにも事情があるんだろう」
ミラ「………」
エマ「ミラどうした?」
ミラ「ううん、なんでもないよ」
ルーチェ「仲間を作らなければずっと仲間になってくれるんじゃない……」
エマ「……なるほど!」
〜宿屋〜
ヒルトミ「……今日は酷い目にあった」
「超寝みぃ……」
天の声[まともに寝てないからな]
[無理はないだろう]
ヒルトミ「……眠過ぎて逆に眠れんやつ」
天の声[わかるわぁ、そういうことあるよな]
[目瞑っときゃそのうち寝るだろ]
ヒルトミ「そうだな……」
〜数時間〜
ギィイ ギィイ ギィイ ギィイ
ヒルトミ「ん……?なんの音だ?」
隣の部屋「ああん、あん♡あん♡あん♡」
「そこぉ……もっと突いて……あん♡」
ギィイ ギィイ ギィイ ギィイ←ベッドが軋む音
「〜〜〜〜最高だ!」
「君の可愛い声を聞かせてくれ」
ヒルトミ「……ったく、こんな真夜中になに楽しいことやってんだ……」
「ここは一般人も泊まってんだぞ、迷惑きまわりないな」
天の声[この世界にはラブホは存在しないんだろう]
[我慢するしか]
ヒルトミ「チッ……羨ましすぎるぜ」
天の声[お前も羨ましいと思うんだな]
ヒルトミ「別にSEXしたいわけじゃないが女とイチャイチャしたいという気持ちはある」
天の声[……わかる]
隣の部屋「あん♡あん♡」
ヒルトミ「リア充爆発しやがれ……」
〜馬車の中〜朝
ヒルトミ「結局全然眠れんかった……」
「あいつら何戦やってんだよ……」
エマ「そいつは災難だったな」
ルーチェ「可哀想……」
ミラ「それなら私を誘ってくれたら良かったのに〜」
ヒルトミ「なぜお前らもついてきた?」
「明後日と言ったはずだ」
エマ「たまたま同じ宿だったからな」
「まさかあそこでばったり会うとは」
ミラ「これから一緒に旅するんだもん」
「用事があるならついてったのに」
ルーチェ「私たちはもう運命共同体……」
ヒルトミ「………」
ミラ「ヒルトミちゃん?」
エマ「ミラ、疲れてるんだ寝かせてやれ」
ミラ「じゃあ私も寝よっと」
ピタ←ミラはヒルトミに凭れるように頭をヒルトミの肩に寄せる
エマ「ミラ……」
ルーチェ「エマ妬いてる?」
エマ「そ、そんなわけないだろう」
「……子供の頃からずっとミラといたが、こんなミラを見たのは初めてでな」
ルーチェ「ところで、ヒルトミさんフード被っててあまり顔が見えない」
「どんな素顔をしているか気にならない?」
エマ「そ、そりゃ……気になるが」
ルーチェ「こっそりとってみない?」
エマ「いやいや、そんなの失礼だろ」
「少しだけなら……いやダメだダメだ!」
〜カルミナ町ギルド教会〜昼
エマ「ヒルトミ、ミラ、目的地についたぞ!」
ヒルトミ「おう……」
エマ「ぐっすりだったな、ちゃん休めたか?」
ヒルトミ「あぁ……まだ眠いが……」
エマ「ミラ!」
ミラ「……ん?もう着いたの」ゴシゴシッ
ヒルトミ「くっつき過ぎだ、離れろ!」
「俺はここのギルマスと話がある待ってろ」
エマ「俺も行こう!」
「アンタの用事なら俺たちの用事でもある」
ルーチェ「拒否権なし……」
ヒルトミ「好きにしろ」
ミラ「まだねむい〜、ヒルトミちゃん抱っこ〜!」ギュッ
ヒルトミ「おい、こいつをどうにかしろ」
エマ「全く、仕方ないやつだな」
「ミラ、ヒルトミが困ってるだろ」
「離れるんだ」ガシッ
ミラ「えー、ヤダヤダ!ヒルトミちゃんから離れたくない」バタバタッ
ルーチェ「ミラ、迷惑……」
トントンッ ガチャ
ルシフェル「ヒルトミさん、お待ちしておりました」
「おや?この方達は?」
ヒルトミ「わりぃ、本当は1人で来るつもりだったんだが……」
エマ「俺はエマ・ラピスだ、今はヒルトミと一緒に行動してる」
ミラ「はいはーい!ヒルトミちゃんとはパーティー仲間でーす!」
ルーチェ「運命共同体……」
ヒルトミ「仲間でも運命共同体でもねぇよ……」
ルシフェル「ふふふ、では中でお話しましょう」
「よろしければ、貴女方もどうぞ」
〜ギルド教会ギルマスの部屋〜
ルシフェル「先ずは、遥々来ていただきありがとうございます」
「例の冒険者狩りの件でお話があったのです」
ヒルトミ「あぁ、その事か」
ルシフェル「えぇ、ご存知かもしれませんが、犯人は巷で戦場の狂犬ライという名の知れた傭兵です」
ヒルトミ「やはりそうか」
ルシフェル「取り調べによると自分が犯人だと供述していました」
「彼が犯人で間違いないでしょう」
ヒルトミ「そうか」
ルシフェル「彼を倒したのはヒルトミさん、貴方だと聞いてますが」
「お間違いありませんね」
ヒルトミ「あぁ、確かに俺が倒した」
「でも、正直圧倒的戦力差で絶望した」
「むしろ戦って生き残ったのが奇跡だ」
ルシフェル「無理もありません」
「彼は貴方に負けるまで238勝0敗の戦績を持っています」
ヒルトミ「まじかよ……」
ミラ「そんなやつを倒しちゃうだもんヒルトミちゃんは凄いよ!」
ルーチェ「ヒルトミさん、凄い……」
ルシフェル「えぇ、彼を捕まえられたのはヒルトミさんのおかげです」
「今回の功績を称え、称号と賞金を贈呈致します」
ヒルトミ「そうか、ありがたくいただく」
スッ
ミラ「いいないいな!いくら入ってるの?」
ルシフェル「中には金貨50枚、銀貨8枚入っています」
ミラ「えぇ、戦場の狂犬を倒したのに少ない!」
エマ「失礼だぞ、ミラ」
ヒルトミ(なぁ、金貨と銀貨って日本円でいくらなんだ?)
天の声[金貨は5000円、銀貨は500円、ちなみに銅貨が50円だ]
【ちなみに宝石のようなもので作られた通貨があるが100万円と50万円だ】
ヒルトミ「十分だ」
ルシフェル「申し訳ございません」
「あくまで、この賞金は冒険者に支払う金額」
「まだここからです」
ヒルトミ「まだあるのか?」
ルシフェル「聞けばヒルトミさん、冒険者登録をしていただいたそうですね」
ヒルトミ「あぁ、昨日登録したばかりだ」
ルシフェル「実はヒルトミさんの冒険者ランクをⅢに昇格させたいと思います」
エマ「うそだろ!Ⅰ、Ⅱを飛ばして3ランクだって!?」
ミラ「私たちでも2週間かけてようやくランクⅠになったのに……」
ルシフェル「本当ならランクⅤで申請したかったのですが、上層部に却下されてしまいました」
ヒルトミ「いいのか?」
ルシフェル「貴方はそれだけの事をしたのです」
「そうそう、ランクが上がる度にボーナスが支給されます」
「受付で受け取ってください」
ヒルトミ「あぁ」
ルシフェル「ところでヒルトミさん」
「ロッテン・ソウル団というカルト団体をご存知ですか?」
ヒルトミ「あぁ、確かそんな団体あったな」
「詳しくは知らない、でも団員らしき奴にはあったぞ」
ルシフェル「そうですか」
ヒルトミ「そいつがどうかしたのか?」
ルシフェル「えぇ、あの団体には良くない噂が沢山ありましてね」
「もし、冒険で彼らの情報を掴んだら情報提供を協力していただいのです」
ヒルトミ「それは構わんが、どうして俺にこんな話を?」
ルシフェル「どうしてでしょうね」
「……もしかしたら、それほど貴方が信頼できると人物であると思っているのかも知れませんね」
ヒルトミ「ふーん」
「じゃあ、もう用がなければ行くぞ」
ルシフェル「忘れていました」スッ
ヒルトミ「これは?」
ルシフェル「それは私の念話番号です」
ヒルトミ「念話番号?」
ルシフェル「念話は番号さえ知っていれば」
「念じるだけでどこで離れていても話すことができます」
「しかし、かける側は非常に魔力を使ってしまうので長念話はお気をつけください」
ヒルトミ「お、おう……」
ルシフェル「それでは、貴方方の冒険に障害がないことを」
〜ギルド教会前〜
ヒルトミ「さて、用は済んだ」
「明日まで自由行動しよう」
エマ「それなら、依頼を受けてみないか?」
ヒルトミ「依頼?」
エマ「冒険者なら食べていくには欠かせない仕事だな」
「ランクによって、受けれる依頼内容や報酬が変わる」
「俺やミラ、ルーチェは本来ランクⅠしか受けられない」
「だが、ヒルトミがパーティーにいればランクØからⅢまでの依頼を受けられるんだ!」
ヒルトミ「そうか依頼か」
〜ギルド教会依頼窓口〜
受付嬢「こちらは依頼を引受けたり、申請したりできます」
「本日はどのようなご要件でしょうか?」
ヒルトミ「依頼を受けに来た」
受付嬢「畏まりました!」
「それでは冒険者ランクを確認しますので、代表者は冒険者カードを提示してください」
スッ
受付嬢「拝見しました」
「現在、ランク3までの依頼を受けれますよ」
ヒルトミ「どんな依頼があるんだ?」
受付嬢「現在来ている依頼はランクØが5件、ランクⅠが23件、ランクⅡが11件、ランクⅢが8件です」
「こちらの依頼帳からお選びください」
ヒルトミ「どの依頼を受ける?」
エマ「せっかくならランクⅢの依頼を受けたいと思わないか?」
ミラ「それじゃあこの中から選べばいいね」
ルーチェ「これは……」
ヒルトミ「気になるものを見つけたのか?」
受付嬢「こちらは討伐依頼ですね」
「こちらの依頼を受けますか?」
エマ「討伐依頼か、いいじゃないか!」
ヒルトミ「よし、決定だな」
受付嬢「畏まりました」
「1度受けた依頼のキャンセルはキャンセル料がかかりますのでご注意してください」
「それではご健闘を祈ります」ニコッ
ミラ「初めての討伐ドキドキしちゃうね!」
エマ「俺らにとっては初めての実戦だ、気を引き締めて行こう」
ミラ「おー!」
〜移動中〜
ヒルトミ「まずどうしたらいいんだ?」テクテク
エマ「依頼を受けたら、先ずは依頼人のところへ行き、依頼について詳しく聞くんだ」テクテク
ミラ「依頼人は確かこの町の外れにある家だったよね?」
エマ「あぁ、そのはずだ」
ルーチェ「うーん……」
エマ「どうしたルーチェ」
ルーチェ「依頼人の住所……」
「どこかで見覚えが……」
ミラ「え、そうなの?」
ルーチェ「うーん……」
〜カルミナ町外れ〜
ヒルトミ「ここか?」
エマ「そのようだな……」
「それにしても、見渡す限り家はこの1軒だけのようだな」
???「おや、もしや依頼を受けに来てくれた冒険者さん?」
ヒルトミ「あぁ、お前が依頼人か?」
???「そうだ」
「いやー、依頼を受けてくれてありがてぇ」
ミラ「私たちが来たからもう大丈夫だよ!」
エマ「必ず、依頼を遂行してみせる!」
ルーチェ「うん……」
???「頼もしいお嬢さん達だー」
ヒルトミ「おっさん名前は?」
ランデイ「オラはランデイだー」
ルーチェ「ランデイ叔父さん……」
ランデイ「ん……?」
「おぉ!おめぇはタイラーんとこの娘かー」
エマ「ルーチェ知り合いか?」
ルーチェ「うん、この人は私の親戚……」
ランデイ「あんでまぁ、こんな大きくなって」
「最後にあったんは小さかった頃……」
ルーチェ「それより依頼を……」
ランデイ「あぁ、そうだっただー」
「実はなぁ、この付近にモンスターが縄張りを作ったみてぇでよ」
ランデイ「時々ここにモンスターが来てよぉ、オラの大事な畑を食い散らかして行くんだー」
エマ「それは大変だな」
ランデイ「んだー、それでモンスターの縄張りを潰してほしんだ」
ヒルトミ「そうか、事情はわかった」
「あとは任せろ」
ランデイ「よろしく頼むだー」
〜ハザードエリア〜
エマ「町以外の外はハザードエリアと言われている」
「モンスターが数多く存在することから冒険者以外はほとんど町から出ない」
ヒルトミ「そんなにモンスターが多いならなぜ町はあんなに平和なんだ?」
エマ「町にはバリアが貼ってあって基本モンスターは入れないようになっている」
「だが、どういうわけかバリアの通過して町に侵入する個体も存在する」
ヒルトミ「特異体質か」
ミラ「特異体質?」
ヒルトミ「例えば、身体の関節を全て外して狭いところを通れたり、一般的に毒と言われてるものを摂取しても死ななかったり」
「例をあげたらキリがないがな」
ミラ「へ〜、そうなんだね」
ドロドロ
モンスター「ギュルル?」ゾロゾロ
ヒルトミ「なんだこのドロっとした気持ち悪い生き物は」
エマ「気をつけろ、モンスターだ」
ミラ「やだ……怖い……」
ヒルトミ「お前ら戦えるのか?」
エマ「一応、剣術の心得はある」
「接近戦は任せろ!」
ルーチェ「私は魔法攻撃が得意……」
ミラ「ミラは攻撃するより、回復やサポートがメインだよ」
「でも、戦うこともできるよ」
ヒルトミ「そうか、ならお前らの戦闘スタイルに合わせて対応しよう」
ミラ「ヒルトミちゃん1人で十分な気もするけど」
ヒルトミ「それお前らの成長になるのか……」
エマ「ヒルトミの言う通りだ!」
「むしろ、俺たちがピンチの時に助けてくれるくらいが理想だ」
ヒルトミ「そうか、任せたぞ」
エマ「行くぞ!」
「はあ!」
サクッ
モンスター「ギュルル!」
エマ「可笑しい……手応えがない」
ルーチェ「こいつは物理攻撃が効かない……」
「ここは私に任せて……」
「サンダーバーズト……」キラン
ザンッ ビリビリ
モンスター「ギュルル……」
エマ「やったぞ!効いてるようだ!」
モンスター「ギュルル!」ピョン
ドーン
エマ「うわ!」バタッ
ルーチェ「エマ……」
ミラ「エマ!」
「もう許さない!」
「ミラービーム!」キラン
ビビビビビ
モンスター「ギュルル!?」ボーン
エマ「やるじゃないかミラ!」
ミラ「つい夢中になっちゃって」
「そんなことよりエマ怪我は!」
エマ「あぁ、ただのかすり傷だ」
「大したことない」
ミラ「ダメ、すぐ傷を塞がないと!ヒールレイ!」
ヒュイーン
エマ「感謝する!」
ヒルトミ「大丈夫か?」
エマ「もう傷は癒えた、心配感謝する」
ヒルトミ「そうか」
ルーチェ「ヒルトミさん意外と心配性……」
ミラ「ヒルトミちゃんならエマを助けれた筈だよね!なんで何にもしなかったの!」
ヒルトミ「………」
ミラ「なぜ黙ってるの!答えて!」
エマ「ミラ、元は俺がピンチの時に助けるだけでいいと言ったのが原因だ」
「ヒルトミは悪くない、悪いのは俺だ」
ミラ「…今のがそのピンチの時じゃなかったの」ボソッ テクテク
ヒルトミ「すまない……」
エマ「ヒルトミ、空気が悪くなってしまったがミラは悪気があって言ってるわけじゃない」
「それだけはわかってほしい」
「ミラは人が傷つくところを見たくないんだ」
「きっとまだ昔のトラウマが……」
ルーチェ「………」
「エマ、前も言ったと思うけど……」
「ミラを冒険に誘ったのは間違いだと思う……」
エマ「………」
ルーチェ「ヒルトミさんはミラの過去を知らないし、なにより私にはミラがヒルトミさんに八つ当たりしてるだけに見えた……」
「こんなこといいたくないけど……」
ヒルトミ「………」
エマ「ヒルトミ、すまなかった…」
「気分を悪くさせたのならどうか謝らせてくれ」
「……実は以前まで4人でチームを組んでたんだが」
「前にも似たようなことがあってな……」
〜回想〜
エマ「頼む考え直してくれ!」
男「もうあのわがまま女に嫌気がさした」
「こうなったのは貴方のせいだとか役立たずとかもううんざりなんだよ」
「もうこのパーティーから抜けてやら」
エマ「待ってくれ、話し合えばきっと……」
ルーチェ「エマ」
エマ「…ミラを誤解してるんだ、話し合えば分かり合えたはずだ……」
〜〜〜〜〜
エマ「俺はミラのことばかり気にして」
「他の仲間の気持ちを考えあげれなかった……」
「今思えば、あいつがパーティーから抜けたのは当然だよな」
天の声[何やら訳ありのようだな]
ヒルトミ(だな、しかしミラの過去について話そうとはしないのを考えると)
(他人には話せないことなんだろうな)
エマ「どうか、ミラを許しえあげてくれないか」
ヒルトミ「そうだな条件がある」
エマ「条件……」
ヒルトミ「ミラの過去を話してくれ」
エマ「それは……」
ヒルトミ「今じゃなくてもいい、ただこれから共に冒険するメンバーで隠し事をするようなやつらは信用出来ない」
「仲間だと思うならちゃんと話すべきだ、まぁ仲間だと思ってないなら話さなくていい」
「その場合は俺はこのパーティーから抜けるつもりだ、当然だよな?」
エマ「わかった、いずれ話そう」
ルーチェ「うん……」
〜〜〜〜〜
ルーチェ「あそこが怪しいかも」
エマ「いかにもって感じの洞穴だな」
ミラ「ヒルトミちゃん、次はちゃんとみんなを守ってよね」
ルーチェ「ミラ、そんな言い方……」
エマ「落ち着け、いいかいくらヒルトミでも全員を必ずしも守ることはできない」
「万が一私たちが怪我をしたり死にそうになってもしヒルトミのせいではない」
ミラ「………」
ヒルトミ「へいへい、ミラお嬢様の仰せのままに」
「要はお前らを傷つけさせなきゃいいんだろ?」
「ならてめぇらは、攻撃に集中してろ」
「敵の攻撃は全て俺が受けてやる」
「行くぞぉ」テクテク
エマ「ヒルトミ……」
ミラ「………」
〜〜〜〜〜
モンスターゾロゾロ
エマ「ビンゴだな」
「ここがモンスターの縄張りだ」
ミラ「……やっぱり引き返さない?流石にこの数相手にするのは」
エマ「そういうわけにはいかないだろ」
ルーチェ「ランデイ叔父さんの依頼は必ず遂行する……」
ヒルトミ「ありゃゴブリンだな」
「ほら、さっさといけよ」
エマ「……行こう」タッタッタッ
「はああああ」
サクッ
ゴブリン「ぐあああ」ボーン
ルーチェ「ファイアーボム……」キラン
ボォーン ゴゴゴ
ゴブリン「ぐあああ……」ボーン
ミラ「2人とも凄い!」
エマ「ミラ!後ろ!」
ミラ「え?」クルッ
ゴブリン「やー!!!」
ミラ「きゃあ!」
スッ
ミラ「うそ……」
サクッ
ヒルトミ「……痛てぇな」
ジャキッ!
ゴブリン「ぎゃあああ」ボーン
エマ「ヒルトミ……お前」
ルーチェ「あぁ……」
ヒルトミ「チッ……」
ズーン
スッ
ドーン
ヒルトミ「………」
ルーチェ「ヒルトミさん……」
ジャキッ!
ヒルトミ「大丈夫か?」
ルーチェ「私は平気……」
ヒルトミ「……ならいい」
「それより攻撃に集中してろ」
ルーチェ「う、うん……」
「アイスケージ……」キラン
キチンコチン
エマ「ミラ何をしてる!早く立つんだ!」
ミラ「いや……」
スッ
サクッ
ヒルトミ「ぐっ……」
ジャキッ!
エマ「すまないヒルトミ」
ヒルトミ「気にすんな……さっさと戦え!」
エマ「あぁ……」
サクッ
ゴブリン「ぎゃあああ」ボーン
ヒルトミ(まずいな……やはりライと戦った時の反動がきてる……)
ヒューレ[この魔法は身体を入れ替えると言っても見た目を変えるだけで力や能力は全て受け継ぐんですぅ……]
ヒルトミ「受けたダメージも受け継ぐのか……」
(そういえば散々攻撃を受けていたな……)
ミラ「いや……」
ゴブリン「ぎゃ!」
サッ グサッ
ヒルトミ「ぐはぁ……」バタッ
「意識が……」
ミラ「嫌だ嫌だ!もう誰かが傷つく姿はもう見たくないの!」
ヒルトミ「………」バタンッ
〜〜〜〜〜
ヒルトミ「ここはどこだ?」
うp主「やぁ!久しぶりだね」
ヒルトミ「お前は……俺?いやうp主か?」
うp主「ご名答!最後にあったのは廃校の時だね」
「俺の作った没世界、どう?」
ヒルトミ「どうも何もそのせいで酷い目にあったんだ」
「俺は死んだのか……?」
うp主「いや、ちゃんと生きてるさ」
「正直驚いてるよ、一瞬とはいえあの世界で神力を解放するとはね」
ヒルトミ「………」
うp主「すまないそんな話はどうでもよかったね」
「こうなってしまったのは俺の管理が悪かった」
「もしお前が望むなら今すぐ元の世界に戻してあげるよ」
ヒルトミ「そうか、ところで俺が元の世界に戻ったらあの世界に取り込まれたみんなはどうなる?」
うp主「残念ながら、一生あの世界の住人になるだろうね」
「今の俺にあの世界をどうにかする権限はない」
「お前たちを取り込んだのはあの世界の意思さ」
ヒルトミ「どうすればみんなを元の世界に戻せるんだ?」
うp主「うーん、方法は無いわけじゃないけど」
「その話はまた今度だ」
ヒルトミ「なんだよ、教えろよ」
うp主「悪いが時間のようだ」
「お前のことだ、1人で自分のいた世界に戻るつもりはないんだろ?」
ヒルトミ「当然だ」
うp主「ならまた今度会う時に話そうじゃないか」
???「……トミ……」
「ヒル……トミ……」
〜〜〜〜〜
エマ「ヒルトミ!ヒルトミ!」
ミラ「私のせいだ……」グスンッ
ヒルトミ「……俺は……」
エマ「ヒルトミ!気がついたか!」
ヒルトミ「そうか、俺は倒れてたのか……」
ミラ「バカ!なんで……なんで……」
「狂犬を倒したヒルトミちゃんならみんなを守ってくれると思ってたのに……」
「ヒルトミちゃんが傷ついたら意味ないよ!」
「どうして……バカ」ポロボロ
ルーチェ「ミラハッキリ言わせてもらうけど」
「人を守るということは命懸けなの」
「ヒルトミさんはミラの無茶ぶりを死ぬ気で果たそうとしてたのが分からないの?」
ミラ「でも、もう私は誰かが傷つくところは見たくないの……」
エマ「なぁミラ、冒険とはそういうものじゃないのか?」
ミラ「……え?」
エマ「時には助け合ったり、時には怪我したり仲間とピンチを乗り越えていく、それが冒険じゃないのか?」
ミラ「………」
ルーチェ「もし人が傷つくところを見たくないのならミラは冒険者になるべきではなかった」
ミラ「そんな……私は……」
エマ「ヒルトミは俺たちを死ぬ気で守った」
「結果こんな結果になってしまったが」
「冒険は危険がつきもの」
「自分の身は自分で守るべきなんだ」
「誰かがみんなを守って犠牲になることはあってはならない」
「ヒルトミももうこんな無茶はやめてくれ」
ヒルトミ「すまない……」
ミラ「………」タッタッタッ
エマ「ミラ!」
ルーチェ「エマ、今はそっとしておこう……」
エマ「……あぁ」
ヒルトミ「どうやら、お前らが全てモンスターを片付けたようだな」
「依頼完了だ早速依頼主に報告しに行くぞ」
「……ぐっ」
エマ「大丈夫か!その怪我では無理だ」
「……今薬草を取ってくる待っててくれ」
ヒルトミ「悪いな……」
〜〜〜〜〜
ヌリヌリ
ヒルトミ「痛て……」
エマ「染みるかもしれないが我慢してくれ」
ヒルトミ「ありがと……」
エマ「よし、これでいいだろう!」
「あとは包帯があれば完璧なんだがな」
ルーチェ「包帯なら持ってる……」
クルックルッ
ヒルトミ「ありがと」
ルーチェ「どういたしまして……」
エマ「なぁ、ヒルトミ」
ヒルトミ「あ?」
エマ「お前が気絶してる時ミラはずっと回復魔法をヒルトミにかけていたんだが」
「どういうわけか、全く効果がなかったんだ」
ヒルトミ「そうか」
エマ「なんか心当たりはあるか?」
ヒルトミ「……おそらく俺がこの世界の人間ではないからだ」
第4章 大賢者の意思
〜ランデイの家〜夕方
ランデイ「助かっただー、これでもう畑を荒らされないんだな」
ルーチェ「もう大丈夫……」
「また何かあったら、ここに連絡して」
ランデイ「ルーチェちゃんありがとよぉ」
「これ報酬の金貨3枚だ」
ヒルトミ「しゃあなおっさん」
ガチャ
テクテク
ドーン
ヒルトミ「ぐっ……」
???「あ、ごめんなさい」
「顔色悪いですけど大丈夫ですか?」
エマ「ヒルトミ大丈夫か!」
「すまない彼は怪我してるんだ……」
???「マジか……ぶつかって本当にごめんなさい」
ヒルトミ「……ソイル?」
ソイル「僕のことを知ってるのかい?」
???「ソイルどうしたのかしら」
「もしかして問題事?」
???「むみぃ?」
ヒルトミ「マミ、ミミ……」
マミ「あら?どこかで会ったことあるかしら?」
ミシェル「なんでミミのこと知ってるの?」
???「てことは俺のことも」
ヒルトミ「いやお前は知らん」
???「なんでだよ!?」
〜店〜
ソイル「そうなんだ、君は異世界から来た人で僕達と瓜二つの人もいるのか」
ヒルトミ「やはりメアリーの言っていた通り記憶がないのか」
ソイル「メアリー?王様のこと?」
ヒルトミ「あぁ、あいつも俺のいた世界の人間だ」
「ソイル達とあったけど僕には全く気づいてないって言っていた」
ソイル「うーん、にわかには信じ難いけど」
「確かに王様は僕達のことを知ってる感じだったような……」
マミ「もし本当に貴方が知ってる私たちだとしてどうしたらいいのかしら?」
ヒルトミ「別に覚えていないなら思い出す必要は無いしむしろ俺にとっては好都合だ」
ミミ「どうして?」
ヒルトミ「……知る必要はない」
「他にも俺やお前ら以外にこの世界に取り込まれた人間は沢山いる」
「みんなの安否確認のため俺は冒険をしている」
ソイル「なるほどね」
???「よくわかんねぇな、本当に俺の事知らねぇのか?」
ヒルトミ「あぁ、おそらくお前は元々この世界の住人なんだろう」
「それなら俺はお前を知るわけがない」
「そうだ、マミ」
マミ「私?」
ヒルトミ「あぁ、お前回復魔法使えるか?」
マミ「一応できるけど」
ヒルトミ「この世界の回復魔法は俺らには効果がないらしい」
ソイル「ばかな……それなら僕は……」
エマ「俺からも保証しよう」
「何しろ回復魔法の効果がなかったのはこの目で何度も見たからな」
ルーチェ「私も保証する……」
ヒルトミ「もしマミの魔法で俺の怪我が治ればお前らはこの世界の住人じゃないことの証明になる」
「やってみてくれないか?」
マミ「……わかったわ」
「怪我を見せてちょうだい」
ヒルトミ「頼む」バサッ
マミ「酷い怪我ね……」
ヒュイーン
エマ「無詠唱!?」
マミ「治ったわね!」
ルーチェ「良かった……」
ヒルトミ「ありがとうマミ」
「どうやら、その回復魔法は本来いた世界の力で間違いないようだ」
マミ「本来いた世界の?」
ヒルトミ「その力は神力により強化された魔法少女の力」
「マミよく考えてみてくれ、君は他の魔法使いとは違う魔法で今まで戦ってきたんじゃないのか?」
「例えば変身したり、リボンとか」
マミ「……そうよ」
ヒルトミ「そしてミミ、いや今はミシェルと呼ぼう」
「お前は本来神樹の加護で力を発揮する」
「力を使う時変身して戦うんじゃないか?」
「そして、攻撃を受けても大したダメージは受けないはずだ」
ミシェル「むみぃ……」
ソイル「………」
ヒルトミ「そしてソイル、お前は……」
ソイル「もう十分んだよ」
「どうやら君の言っていることは全て事実らしいね」
ヒルトミ「そうか」
ソイル「君のことはなんて呼べはいいかな?」
ヒルトミ「ヒルトミだ」
「お前は俺の事をヒールーと呼んでいたが」
ソイル「ヒールーか……なんだが懐かしい感じがするな」
「ヒールー、これから君はどうするつもりなの?」
ヒルトミ「さっきも言ったように俺は安否確認をして回る」
ソイル「そうなんだ、みんな無事だといいね」
ヒルトミ「あぁ」サッ
テクテク
ソイル「もう行くの?」
ヒルトミ「まだ、会いたいやつは沢山いるからな」
「お前らが元気そうで安心した」
「じゃあな」テクテク
エマ「ヒルトミ」テクテク
ルーチェ「………」テクテク
ソイル「ヒールー待って!」
ヒルトミ「なんだ?」
ソイル「もし良ければだけど、しばらく一緒に行動しない?」
ヒルトミ「は?」
ソイル「前の世界では僕達のこと詳しいみたいだけどこっちの世界の僕のこと知らないでしょ?」
「改めて自己紹介するよ」
「僕はソイル、勇者だよ」
ヒルトミ「……勇者?」
〜宿屋の一室〜
ソイル「へぇ、向こうの世界では僕達は親友だったんだ」
ヒルトミ「あぁ、よくカラオケに行ったり、ゲーセンへ行ったな」
「時にはカナタ博士のタイムワームで別の世界へ行ったり」
ソイル「それは楽しそうだね、全然覚えてないw」
「だけど、なんか凄く想像はつく」
マミ「私とトミさんとはどういう関係だったのかしら」
「あ、ごめんなさいトミさんなんて馴れ馴れしかったわよね」
ヒルトミ「構わない、いつもお前からはそう呼ばれていた」
マミ「そうなの?」
ミシェル「ミミは?ミミはなんて呼べはいいの?」
ヒルトミ「ミシェルからは先生と呼ばれていた」
ミシェル「先……生?」
ヒルトミ「タイムワームで別の世界へ行った一時期学校の先生になったんだ」
「ミシェル、お前の担任にな」
ミシェル「先生?先生!」ギュッ
ヒルトミ「どうしたいきなり!?」
ミシェル「なんだろう何となくギュッてしたくなって……」
マミ「綿木さん、トミさんから離れなさい」
ミシェル「やだー!」
マミ「トミさんに迷惑でしょ!」
ヒルトミ「やれやれ……これじゃあ記憶がなくてもいつも通りだな……」
ソイル「記憶がなくなっても何かしら無意識に覚えてることがあるのかもしれないね」
???「話についていけないぜ」
エマ「やっぱりそうかお前……」
???「よう……まさかまたお前たちに会うとはな」
ルーチェ「ジェラード……」
ジェラード「あのわがまま女はいないのか?」
エマ「今はちょっと分け合ってな……」
「ミラは俺たちから姿消したんだ」
ジェラード「ふーん、まぁ俺にはもう関係ねぇし」
「あいつの顔を見なくて清々するぜ」
ルーチェ「………」
エマ「すまなかった…」
ジェラード「は?」
エマ「ミラのことばかり庇って、アンタの気持ちを考えてあげれなかった」
「もちろんミラは悪気があったわけじゃないが結果お前がパーティーを抜けたのは俺やミラの責任だ……」
ジェラード「………」
ソイル「ヒールー、君のパーティー何かあったの?」
ヒルトミ「実は……」
ヒルトミは討伐依頼で起きたことを話した
ソイル「そうか、それであんな大怪我を……」
マミ「許せないわね」
「トミさんは何も悪くないじゃないの!」
ジェラード「あのわがまま女何も変わってないじゃないか」
エマ「待ってくれ、ミラは本当に悪気があったわけじゃないんだ」
ヒルトミ「ならもういいだろう、そろそろ本当のことを話してくれよ」
エマ「わかったミラの過去を話そう」
〜〜〜〜〜
マミ「まあ……そうだったの……」
エマ「あぁ、ミラは自分の前で惨い殺され方をした家族を見て以来」
「人が傷つくことを極度に嫌がっているんだ」
「そして、何も出来ず家族を救えなかったという罪悪感とともに今でもずっとそのトラウマを背負い続けている」
ソイル「……それは辛いね」
エマ「それで戦場の狂犬を倒したヒルトミかいれば誰も気づつくことはないと期待してたのかもしれない」
・・・・・
みんな「えぇぇェェエエ工!?」
ソイル「確か、倒したのはフードコートの男って書いてあった……」
「そういえばヒールーのその格好……」
ジェラード「あの戦場の狂犬を倒したってまじかよ……」
マミ「それは、期待したくなるのもわかる気がするわ」
ヒルトミ「………」
「いくら俺でも自分含めみんなを守りながら4人無傷は無理だぞ……」
「それにライとの戦いで負ったダメージが思った以上に大きくてな……思うように動けなかった……」
マミ「内蔵が破裂していたもの、無理はないわ」
ヒルトミ「……マジ?」
マミ「マジよ」
ジェラード「いや、内蔵破裂していてなぜ動けんだよ!」
「つかなんで生きてんだよ!」
エマ「アンタバケモノか……」
ルーチェ「人間離れ……」
ソイル「あはは……とにかく無事ならよかった」
ヒルトミ「………」
(なぁ、天の声……これって)
天の声[……我にもわからん]
ヒルトミ(うp主仕業か……?)
〜宿屋〜深夜
ヒルトミ「…zzZ」スゥー
トントン
ヒルトミ「……ん?」サッ
ガチャ
ソイル「やぁ、ヒールー」
ヒルトミ「ソイルか、こんな遅くにどうしたんだ?」
ソイル「あまり寝付けなくてね」
「ちょっと話をしない?」
〜宿屋の外〜
ヒルトミ「話ってなんなんだ?」
ソイル「ヒールーはさ、前の世界に戻りたいと思う?」
ヒルトミ「さぁな、現状帰る方法はないし」
「もしかすると帰れないかもしれないな」
「お前こそ元々はこの世界の住人じゃない」
「俺らがいた世界の記憶をなくしてるかもしれないが、お前にはこっちの世界で育った記憶がある」
ソイル「そうだね」
「僕はこの世界で20年以上生きてきたよ」
「でも、もし僕がヒールー達の世界での記憶が戻ったら…僕は帰りたいと思うのかな?」
ヒルトミ「さぁな…」
「それでもここに居たいって思うのなら俺は止めないがな」
ソイル「意外だね、強引にでも連れ戻すと思ったw」
ヒルトミ「そうかよ……」
ソイル「あれ、怒らせちゃったかな?」
ヒルトミ「別に……話が終わったなら俺は中に戻るぞ」ファ~←あくび
ソイル「待ってヒールー」
ヒルトミ「まだ何かあるのか?」
ソイル「突然だけど手合わせ願いたい」
ヒルトミ「は?」
ソイル「戦場の狂犬を倒した君の実力を見たくてね」
〜町外れ〜
ソイル「ここまで来れば迷惑がかからないかな?」
ガシッ←武器を構える
ヒルトミ「その槍は……」
シャキッ!←大剣を構える
ソイル「遠慮なくいかせてもらうよ!」サッ
カキンッ
ヒルトミ「この力は…」グググ
ソイル「それ!」ブーン
ヒルトミ「………なんて速さだ」サッ サッ
「ソイルがここまで強かったとは……」
ソイル「そろそろ本気をだしたら?」
「怪我するかもしれないよ」
ヒルトミ「チッ……」ブーン
カキンッ キン キン
ソイル「うーん、これで本気?」
プスッ
ヒルトミ「……くそっ」ブーン
ソイル「………」スッ
ヒルトミ「どこだ!どこへ行ったんだ?」ブーン ブーン
(暗くてよく見えない……)
ドーン←背中蹴られる
ヒルトミ「うぉ!?」バタッ
「くそっ!」サッ
ドーン←再び蹴られる
ヒルトミ「あっ……」バタッ
(ここは明かりになるようなものはない)
(でも、アイツにはこの暗闇の中で見えてる?)
(おそらく、暗闇に慣れているんだろうな…)
(こんなの勝てるわけ…)
(そうか暗闇か)
(つまり影そのものになる)
(それなら、影踏み!)ズーン
ソイル「………?消えた?」
スッ
ドーン
ソイル「おっと!」バタッザザザ
「今の攻撃どこから?」
ヒルトミ「こっちだ!」
シャキッ←ソイルの首に大剣を突き付ける
ヒルトミ「勝負ありだ」
ソイル「お……さすがだね」
「まさか僕から1本取るとは」
ヒルトミ「いや、本気でやってたら俺は負けていた」
ソイル「確かにそうかもしれないね」
「正直狂犬を倒したにしては全く手応えがなかった」
「どんな風に倒したか知らないけど僕も狂犬とは1度戦ったことがあるんだ」
「もちろん僕は勝てなかったよ」
「あの強さは異常」
「だから、そんな狂犬を倒したヒールーに興味があった」
ヒルトミ「そうか」
ソイル「ねぇどうやって倒したの?」
ヒルトミ「………」
「実は俺もあまり覚えていないんだ」
「本来俺の持ってる力、神力という力を解放して倒した」
ソイル「神力?」
ヒルトミ「あぁ、この世界に来て力が制限されているから今はその力を使えない」
「あの時は無我夢中だったからいつの間にか俺はアイツを倒していた」
ソイル「興味深いね」
「ぜひ本気のヒールーと戦ってみたい」
ヒルトミ「ふ、神力を使えたらお前の勝ち目は100%ねぇよ」
「元々お前のその力も神力のほんのひと握りなんだからよぉ」
ソイル「……そうなんだ」
「だったら尚更今回僕に勝てたのは凄い」
「さっきのスキルどういう技なの?始めてみた」
ヒルトミ「……知らん?」
ソイル「え?」
ヒルトミ「なんか頭に浮かんだんだそれを詠唱したら使えるようになってた」
ソイル「そうなんだ…不思議だね…」
「じゃあ最後にひとつ聞いていい」
ヒルトミ「なんだ?」
ソイル「あれは魔法なの?技なの?」
ヒルトミ「いや、わかんねぇ」
「でも、影の中に入って相手の隙を突く」
「技ではないなかと言って魔法でもないような…」
ソイル「うん、正直僕も技でも魔法でもないような気がした」
「だから聞いたんだよ」
ヒルトミ「そうか」
ソイル「結局分からなかったけどね」
「とにかくありがとう、宿屋に戻ろうか」
〜宿屋〜朝
ヒルトミ「もう朝か…」
「休んだ気がしないな」
天の声[もう少し寝るのか?]
ヒルトミ「いや、そろそろ出発しよう」
ガチャ
エマ「おはよう、ヒルトミ」
ルーチェ「おはよ……」
ヒルトミ「あぁ」
エマ「ちょうどアンタを呼びに行こうとしてたところだ」
ヒルトミ「まだミラが来ていないようだが?」
エマ「あぁ、実はな」
〜〜〜〜〜
ヒルトミ「そうか、冒険者を辞めたのか」
「すまん、俺のせいだよな」
エマ「いや、ヒルトミのせいではない」
「全て俺が悪いんだ」
ルーチェ「トラウマを抱えたまま旅をするのは危険だった……」
「寧ろこれでよかったんだよエマ」
エマ「そうだな……」
テクテク
ソイル「おはよう3人とも」
ヒルトミ「おう」
エマ「勇者様おはようございます」
ルーチェ「おはよ……」
ミシェル「先生!」ダキッ
ヒルトミ「おい……」
ソイル「すっかりミシェルはヒールーに夢中だね」
「ところでヒールー」
ヒルトミ「なんだ?」
ソイル「旅に出るんだよね?」
「行く宛はあるの?」
ヒルトミ「いや特に決めてないが」
ミシェル「それじゃあミミ達と一緒に旅しようよ!」
ソイル「ミシェル、それはヒールーが迷惑だよ」
ヒルトミ「慣れてるから問題ない」
「ソイルこそこれからどうするんだ?」
ソイル「僕たちはまだこの街に滞在するつもりだよ」
「そうだ、もし行く宛がないならこの町から北にプッシュプルン街に行ってみるといいよ」
ヒルトミ「プッシュプルン街?」
ソイル「あそこでは隣の国に行くための許可証とかも発行してくれるから冒険する上で重要になってくると思う」
「僕たちも近々そっちに行くからもしかしたらまた会うかもね」
ヒルトミ「そうか、ありがとう」
エマ「さっそく目的ができたな」
「準備が出来たら行くぞ」
ルーチェ「うん……」
ヒルトミ「ミミ、そろそろ離してくれないか?」
ミシェル「やだ!先生と一緒に旅するの!」
ヒルトミ「ソイルこいつを何とかしてくれ」
ソイル「とは言われてもね……」
「もしヒールーがミシェルを連れてってくれるなら僕も正直助かるんだけど」
ヒルトミ「は?どういうことだ?」
ソイル「実はねこの子家出少女なんだ…」
ヒルトミ「……は?」
「お前の仲間じゃないのか?」
ソイル「気づいたら勝手に着いてきてたんだよ……お家の人にも何も言わずに」
「きっとミシェルのお父さんもお母さんも心配してる」
エマ「それじゃあ、先ずはこの子をご家族にとどけるのが先だな」
「この子の家はどこにあるんだ?」
ソイル「プッシュプルン街……」
ヒルトミ「てめぇ!最初からそれが目的で!」
ソイル「いや、たまたまだよ……」
「どの道そっちに行く予定があったから僕が送り届けてもいいんだけど」
「こうしてヒールーのこと気に入ってるわけだし…」
ヒルトミ「チッ…」
エマ「いいじゃないか!」
「プッシュプルン街に行くなら目的は同じだ」
「それにヒルトミとしてもミシェルは知り合いなんだろ?」
ヒルトミ「……仕方ねぇな」
「お守り代よこせ」
ソイル「ちゃっかりしてるね」スゥ~
「金貨1枚で足りるかな?」
ヒルトミ「十分だ」
「小遣いだ取っとけ」スゥ
ミシェル「わぁい!いいの?」
ソイル「あ、渡しちゃうんだ」
ヒルトミ「どうせ報酬とか渡してないんだろ?」
「ご飯は食べさせてるみたいだが」
ソイル「……さすがヒールーだね」
ヒルトミ「よし、飯食ったら出発するぞ」
エマ「あぁ!」
ルーチェ「ヒルトミさん優しい……」
ヒルトミ「言っとくが奢らねぇぞ」
ルーチェ「前言撤回やっぱりケチ……」
ミシェル「ミミにも奢ってくれないの?」
ヒルトミ「今は俺が保護者代わりだからなお前の分は奢ってやる」テクテク
ミシェル「やった!先生大好き!」テクテク
ソイル「また会おう……ヒールー」
〜〜〜〜〜
ルーチェ「ヒルトミさん素敵……」
ヒルトミ「いや、なんでお前金持ってねぇんだよ」
ルーチェ「ほしいものがあったから……」
「これ新しい杖……」
ヒルトミ「……」
エマ「悪いな俺の分まで奢ってもらって」
ヒルトミ「3人分払うならもう4人でも同じだと思っただけだ」
エマ「流石にお金がないのはマズイな」
「出発する前に依頼を受けるか」
ルーチェ「うん……」
ヒルトミ「やれやれ……」
〜ハザードエリア森〜
エマ「あった、これか!」
ヒルトミ「これはなんだ?」
エマ「これは毒消しの効果がある草だ」
「この草をあと14本必要だ」
ヒルトミ「わかった、あっちの方を探してくる」テクテク
ミシェル「蝶々だ!」タッタッタッ
ヒルトミ「ミミ、遊んでないで手伝ってくれ」
「…ったく」
ポリポリ←首を掻く
ルーチェ「ヒルトミさん……」
ヒルトミ「あ?」
ルーチェ「これが見つからなくて……」
ヒルトミ「それは痺れを治す効果がある草か」
「この辺は結構目につくから他の冒険者も取ってるだろうしな」
「そうだ、こういう時こそ探すことに特化した能力がある」
「サーチアイズ」サー
「あっちの方に沢山生えてるな」
ルーチェ「探してくる……」テクテク
ヒルトミ「よし、俺も毒消し草を探すか」
「サーチアイズ」サー
テクテクテク
ヒルトミ「この辺にはないな…もっと奥の方へ入ってみるか」
ザザザ
ヒルトミ「なんだ」
シャキッ←大剣を構える
サッ
ヒルトミ「…なんだルーチェか」
ルーチェ「見つけた……」
ヒルトミ「そうか良かったな」
「ちょうどいい、毒消し草を探しているんだ」
「お前も手伝ってくれ」
ルーチェ「この先で遺跡のようなものを見つけた……」
ヒルトミ「遺跡?」
〜遺跡〜
ヒルトミ「こんな森に遺跡があったとはな……」
「1度戻ってエマとミミを……」
シーン
ヒルトミ「あれ、ルーチェ?」
「消えた?」
天の声[どうしたんだ?お前ずっと1人だったぞ]
ヒルトミ「どういうことだ?」
「さっきまでルーチェが居ただろ」
天の声[いや、お前ブツブツ言いながらずっと1人だったが……]
ヒルトミ「………」
「どうやら、俺はこの遺跡に呼ばれているようだな」
天の声[この遺跡に何があるんだろうな?]
[入ってみるか?]
ヒルトミ「いや、あいつらをおいて勝手に単独で行動するのは……」
キーン
ヒルトミ「うっ……」
「誰かが頭に……」
天の声[大丈夫か?]
ヒルトミ「行こう」テクテクテク
〜〜〜〜〜
ゴォ ゴォ ゴォ ゴォ ゴォ
ヒルトミ「ローソクに火が…」
「誘導されているのか?」
テクテクテクテク
テクテクテクテク
テクテクテクテク
ヒルトミ「これ以上は行き止まりみたいだ」
カチッ ガガガガガ
ヒルトミ「壁が!」
天の声[隠し通路か?]
テクテクテクテク
テクテクテクテク
テクテクテクテク
ヒルトミ「扉があるな」
「鍵は……」
ガチャ
ヒルトミ「かかってない」
キュイーン バタン
ヒルトミ「……!?」
「酷い臭いだ……」
天の声[なんか部屋みたいだな]
[めぼしいものがあるかもしれないぞ、ヒルトミ探してみろ]
ヒルトミ「探してみろっつってもな……なんも」キョロキョロ
「……あれは」テクテクテク
「死体か?白骨化している……」
「死んで結構経ってるのか」
「本みたいなのが落ちてるな…こいつの日記か?」
スッ←しゃがみ落ちてる本を拾い上げる
ペラペラ
ヒルトミ「収納スキル…ストレージャー?」
シュイーン←空間が開く
ヒルトミ「なるほど、空間収納みたいなもんだな」
「詠唱しただけで使えるようになるとはな…」
天の声[どうやら、収納スキルを習得したようだな]
[きっと、神力で空間収納使いまくってるから簡単に使うイメージができるんだろう]
ヒルトミ「確かに頭の中でイメージみたいなのが浮かんだな」
「それで習得できたのか」
天の声[とにかく、収納スキルは冒険をする上でかなり役立つ]
「良かったな」
ヒルトミ「あぁ」
???「………」
ヒルトミ「誰だ?」クルッ
???「ワシが見えるのか?」
ヒルトミ「お前は何者だ?」
???「ワシは生前賢者と呼ばれていた」
ヒルトミ「……生前?」
賢者の霊魂「そこに転がってるのがワシじゃよ」
ヒルトミ「てことはてめぇは幽霊か」ブルブル
賢者の霊魂「そういうことになるのか」
「かつてワシは人類に知恵を与え放浪の旅をし、ある時は世界の破滅を企む魔王を倒し、ある時は滅亡級の自然災害から何度も世界を救った」
「かれこれ1000年以上は生きてきた」
ヒルトミ「1000年……」
賢者の霊魂「どうやら収納スキルを詠唱しただけで我がものにしたようじゃな」
「それはワシが事細かくスキル習得に必要な条件を書いたものだ」
「他にも色々役立つスキルがある、その本はお前に譲ろう」
ヒルトミ「いいのか?」
賢者の霊魂「普通は詠唱だけでスキルは使えん」
「お前は見込みがある、お前なら悪用はせんだろう」
ヒルトミ「ありがたくいただくぜ」
賢者の霊魂「一つだけ頼みがある」
ヒルトミ「なんだ?」
賢者の霊魂「残り数ヶ月で災害が目覚める時期だ」
ヒルトミ「災害が?どういうことだ?」
賢者の霊魂「あれを封印してからもう499年」
「500年で封印解け滅亡級の災害」
「ギガンデス・アメジストドラゴンが目覚めてしまうんだ」
ヒルトミ「ドラゴン…」
賢者の霊魂「ただのドラゴンではない、ギガンデスドラゴンは通常のドラゴンの2回りも3回りもでかくとても凶暴だ」
ヒルトミ「そんなのがいるのか……」
賢者の霊魂「どうかやつが目覚める前にもう一度封印をしてほしいのだ」
ヒルトミ「そんな危険なものなら倒した方がいい封印だとまた500年経てばまた復活するだろう」
賢者の霊魂「できるならそうしていた、だがやつの力の前では賢者であるワシですら為す術がなかった」
ヒルトミ「ふん…」
賢者の霊魂「現在でもやつを倒せるものはこの世にいないだろう」
「封印する他方法はない」
ヒルトミ「そうか」
賢者の霊魂「どうか、ワシの意志を継いでくれぬか?」
ヒルトミ「仕方ないか」
「わかった俺に任せろ」
賢者の霊魂「ありがとう」
ヒルトミ「じゃあ封印の方法を教えてくれ」
賢者の霊魂「封印はその本の最後のページに乗っている」
「封印するためには色々準備が必要だ封印に必要な素材を集め、ギガンデス・アメジストドラゴンが眠っている祠へ行き再び封印してくれ」
ヒルトミ「どこに祠があるんだ?」
賢者の霊魂「隣国のあるハウバウド……」
ヒルトミ「なんだ?よく聞こえないぞ」
「…ん……意識が……朦朧と……」
「……う」バタン
・・・・・
エマ「ルーチェ!ヒルトミは見つかったか!」
ルーチェ「ううん……いない」
エマ「一体…何処へ行ってしまったんだよ……」
ミシェル「先生どこ うわぁーん」ポロホロ
エマ「ミシェル、ヒルトミはきっと無事だ」
「もう少し奥を探してみよう」テクテク
エマ「おーい!ヒルトミーーー!」テクテク
ルーチェ「ヒルトミさん!」テクテク
ミシェル「先生〜〜〜!」テクテク
ルーチェ「見て……」
エマ「あれは!」タッタッタッ
ミシェル「先生!」タッタッタッ
エマ「おい!ヒルトミ目を覚ませ!」ユサユサ
「生きてるか!」
ヒルトミ「……な」バッ
「俺は……」
エマ「無事か……一体何があったんだ?」
ヒルトミ「俺はさっき遺跡を探索していて…」
エマ「遺跡?……いやここにそんなものは……」
ミシェル「先生!」ガバッ
ヒルトミ「ミシェル……」
ミシェル「うわーん…もうどこかに行っちゃやだよ」ポロポロ
ヒルトミ「……悪かった」
ルーチェ「ヒルトミさんが見つかって良かったねミシェルちゃん……」
ミシェル「うん、もう絶対離れないんだから」
ヒルトミ「いや…流石に離れてくれ…このままはまずい……」ムクムク
ミシェル「あれ?なにか当たってる…」
エマ「ヒルトミ…お前…」
ルーチェ「ヒルトミさん……失望しました」
ヒルトミ「いやいや、こんな体制で上に乗っかられたら誰だって反応するだろ」
エマ「だからってこんな小さい子に発情しているのか!」
ヒルトミ「生理現象だ勘弁してくれよ!」
ミシェル「???」
ヒルトミ「ミシェル頼むから離れてくれ」
ミシェル「やだ!」スリスリ
ヒルトミ「おい待てやめろ、お前ワザと動いてるだろ」
「腰動かすな」
ミシェル「ここに当たってちょっと気持ち良くなって/止まらないの//」スリスリ
エマ「ミシェル、それ以上はダメだ!君にはまだ早い」ガシッ
ミシェル「いやー、離してー!」
ルーチェ「ミシェルちゃん…もう性に興味があるの?」
ヒルトミ「こう見えて14歳だからな思春期真っ最中だな」
エマ「14歳なのか!?まだもう少し小さいと思ってた」
ルーチェ「それじゃああと1年で成人なんだ」
ヒルトミ「てことは15歳で成人なのか?」
エマ「当たり前じゃないかって…アンタは別世界の人間だったな」
「こっちの世界では15歳から成人を迎えるんだ」
ルーチェ「15歳になったらお酒も飲めるしタバコも吸える……」
「結婚も15歳から……」
ヒルトミ「そうなのか」
「俺のいた世界では成人は20歳からなんだ」
エマ「そうなのか?」
「世界によって勝手が違うんだな」
「ところでお前さっき遺跡がどうとか言っていたな」
ヒルトミ「あぁ、そこで賢者と名乗る奴がいてな冒険に役立ちそうなスキルを習得したんだ」
エマ「……その事なんだがな、この森には遺跡なんて存在しないぞ」
ヒルトミ「……は?」
「存在しないも何もさっき……」
エマ「きっと夢でも見ていたんじゃないのか?」
ヒルトミ「夢……だったのか……」
エマ「……さっき冒険に役立ちそうなスキルを習得したと言っていたな」
「今それを使えるか?」
ヒルトミ「そうか、やってみよう」
「ストレージャー」
シュイーン
ヒルトミ「どうやら成功したようだ」
「どうやら夢ではないな」
エマ「それはなんなんだ?」
ヒルトミ「収納スキルだ」
エマ「収納スキル!?すごい…初めて見たぞ」
ルーチェ「これがあれば重たい荷物を持たなくても済みそうだね……」
エマ「あぁ、冒険する上でかなり役立つぞ」
ヒルトミ「あぁ、以前神力を使えてた時はかなり世話になったからな」
「冒険をする前に収納スキル習得できて運が良かった」
エマ「お前のスキル俺たちにも使えないのか?」
ヒルトミ「待ってろ」シュイーン
「この本の4ページに収納スキルを習得するための方法が記されている」
「流石にあげることは出来ないが習得するまで何度でも貸してやる」
エマ「かたじけない!」
「早速試してみよう」
ルーチェ「次は私……」
エマ「あぁ、……空間を広げるイメージをする」
「詠唱はストレージャー」
「成功させる条件はレベルが5以上、イメージするだけで魔力がかなり消耗してしまうので、練習は時間を置いてゆっくりコツをつかんでいくことを推奨するか」
「結構大変そうだな」
「まずはイメージか」
「………」
「ストレージャー!」
スゥ-
エマ「ダメか……」
「確かに疲労感を感じる、イメージするだけでこんなに魔力消費が大きいとは……」
「ヒルトミはよく習得できたな」
ヒルトミ「俺の場合、詠唱したら頭にイメージが浮かんできてな気づいたら使えていた」
エマ「アンタ本当にすげぇな……」
ルーチェ「………ストレージャー」
ススゥ…
ルーチェ「ダメみたい」
エマ「でも、今の惜しくなかったか?」
「もう少し練習すればすぐに使えるようになるかもしれんぞ」
ルーチェ「うん……魔力が回復したらもう一度試してみる……」
ミシェル「えっと、ストレージャー?」
シュイーン
ミシェル「むみぃ!?」
エマ「ミシェル、君は出来るのか!」
ルーチェ「ミシェルちゃんすごい……」
ミシェル「ミミもびっくりだよぉ…」
ヒルトミ「元々ミシェルにも神力の影響がある」
「随分前に星守の力を強化したからな」
「出来てもおかしくはない」
ミシェル「それじゃあ、収納スキル?を使えるのはミミと先生だけなんだ!」
「お揃いだね!」
ヒルトミ「あぁ…」
エマ「さぁ、1度町へ戻ろう」
ヒルトミ「薬草はもういいのか?」
エマ「あぁ、必要な分は全て回収済みだ」
ルーチェ「同じく……」
ヒルトミ「わかった」バサッ←立ち上がる
〜カルミナ町〜昼
エマ「俺の報酬とルーチェの報酬を合わせて銀貨6枚か」
「ほら、ルーチェ」スッ
ルーチェ「でもこれエマの分も……」
エマ「俺はいいんだ、それよりこれで冒険に必要な物を買おう」
ルーチェ「ありがとうエマ……」
ヒルトミ「もし足りない分は言ってくれ俺も少しは援助してやる」
ルーチェ「ヒルトミさんもありがとう……」
〜〜〜〜〜
エマ「やはりテントは必要だよな」
「色んな種類があるな」
ヒルトミ「金貨10枚結構高ぇな」
エマ「流石に手が出せないな……」
ヒルトミ「仕方ない1番大きいやつを買ってしばらくは4人同じテントを使うしかないよな」
エマ「1番大きいやつは金貨20枚するぞ……」
ヒルトミ「ここは俺が払う」
エマ「いいのか?」
ヒルトミ「問題ない」
〜〜〜〜〜
ルーチェ「次は食料と調理器具が必要……」
エマ「食料は現地調達でも良さそうだが」
ルーチェ「でも、その日食料に有りつけるとも限らない」
「絶対買っておいた方がいいと思う……」
ヒルトミ「だな、もし毒キノコとかを取ってきて食べたらシャレにならんし、素人は現地調達はやめておいた方がいいだろう」
エマ「それもそうか…」
ミシェル「ミミお肉食べたい!」
ヒルトミ「肉か、そういえばこの世界の肉は何を主に食べられてるんだ?」
エマ「一般的には狼やクマの蛇のモンスターの肉を食べることが多いな」
「上流階級の連中は鳥やドラゴンの肉を食べてると聞く」
ヒルトミ「なるほどな」
ミミ「ミミ鶏肉食べたい!」
エマ「言っておくが鶏肉は高いぞ……」
ミシェル「でも、お家ではいつも食べてたよ?」
ルーチェ「ミシェルちゃん上流階級……」
ヒルトミ「とりあえず食料を買いに行こう」
エマ「それじゃあそっちは任せよう」
「俺とルーチェは調理器具を買いに行くぞ」
ルーチェ「わかった……」
ヒルトミ「それじゃあ、集合場所はどうする?」
エマ「これ私の念話番号だ」スゥ
「買い終わったらこっちへ念話してくれ」
ヒルトミ「おう」ジー
ルーチェ「え……なんですか……」
ヒルトミ「いや、お前からも念話番号もらえると思ったんだが」
「くれないのか」
ルーチェ「………」
エマ「ルーチェ無理しなくてもいい、無理なら」
ルーチェ「……ううん…平気」カキカキ
「……これ私の番号……」
ヒルトミ「お、おう……事情があるみたいだがいいのか?」
エマ「ルーチェは人見知りでな、1対1の対話はルーチェにはちょっと難しくてな」
ヒルトミ「そうか、悪いことしたな」
ルーチェ「いや、ヒルトミさんなら多分大丈夫……」
エマ「ルーチェはそれだけヒルトミを信用してるんだな」
「でも、ヒルトミ極力は俺にかけてくれ」
ヒルトミ「あぁ、もしもの時だけ使わせてもらうぞルーチェ」
ルーチェ「うん……」
ヒルトミ「それじゃあ、行くぞミミ」テクテクテク
ミシェル「うん!行こ!」テクテクテク
「先生手をつないでいこう」
〜〜〜〜〜
エマ「鍋は銅貨4枚と銅貨1枚」
「調理鉄板は金貨1枚と銀貨4枚もしくは銀貨9枚……そして」
「この飯盒炊飯ってなんだ?」
ルーチェ「さぁ?」
エマ「こんなもの初めて見たが何やら特定の料理を作る調理器具だろうな」
「しかも、銀貨1枚かなり安いな」
「とりあえず買っておくか」
ルーチェ「そんなの使う機会あるの?」
エマ「まぁ、有って損はないだろ」
ルーチェ「エマらしいね」
エマ「さぁ、ヒルトミが来るまでどこかで時間を潰しておこう」テクテク
ルーチェ「うん」テクテク
ガチャ バタン
エマ「小腹がすいたしなに食べるか」テクテク
ルーチェ「私バーヌ食べたい」テクテク
エマ「お、いいな」テクテク
「生地はサクッと中はしっとりしたお菓子のようなものだよな」テクテク
ルーチェ「うんうん」テクテク
「チルの実味バラッバランの実味ボロンの実味とか味の種類は様々」テクテク
エマ「そんなにあったんだな」テクテク
「子供の頃食べたのが最後なんだ久々に食べてみたくなった」テクテク
「早速買いに行こう」テクテク
???「よう、そこの姉ちゃん」
エマ「……なんだお前ら」
ルーチェ「エマ……」
エマ「大丈夫だ」
チンピラ1「姉ちゃんたち2人だけか?」
「良かったら俺たちと楽しいことしようぜ」
エマ「悪いが急いでいるんだ、ナンパなら他所でやってくれ」
チンピラ2「活きのいい姉ちゃんだな」
チンピラ3「おっぱいもでけえし本当は俺たちを誘ってんじゃねぇの?」
チンピラ1「俺この無口の姉ちゃんもらっていいか?」
チンピラ3「おい待てそっちのは俺が狙ってたんだ」
チンピラ2「順番にやちまえばいいだろう」
エマ「……男はみんなこんな奴らしかいないのか」
「ほっといて行こうルーチェ」テクテク
ルーチェ「………」テクテク
ガシッ←エマの方を掴む
チンピラ1「おい待てよ」
サッ ドーン←背負い投げ
チンピラ1「ガバッ……」
エマ「レディの身体を気安く触るな」
チンピラ2「テメ……」
シャキッ
チンピラ2「ひぃぃぃ!?」
エマ「さっさと他所へ行け、斬るぞ?」
チンピラ2「す、すいませんでしたー!」タッタッタッ
チンピラ3「ちっ、覚えてろよ!」タッタッタッ
チンピラ1「ま、待ってくれよ!」タッタッタッ
エマ「全く、ろくな奴がいねぇな」
ルーチェ「エマ凄い」
エマ「これくらいできなきゃ冒険者は務まらないからな日々鍛えてるんだ」
ルーチェ「私も力つけなきゃ」
エマ「ルーチェは魔法が使えるだろ」
「俺は魔力には恵まれなかったからな」
「むしろ俺はこれしか取り柄がないんだ」ポンッ
ルーチェ「ううん、そんなことない」
「エマは頼りになる」
エマ「はは、ありがとうルーチェ」
「さぁ、バーヌ食べに行こうぜ!」
〜王宮〜
???「メアリーお母様!」
メアリー「あら、みきちゃん」
「どうしたの?」
みき「勇者様が来てると聞いて急いできました!」
「勇者様はどちらですか?」
メアリー「さっきまで、来てたけどもう行ってしまったわよ」
みき「そんな……一目だけでもお会いしたかったのに」ショボン
メアリー「そう落ち込まないでちょうだいきっとまた機会はあるわ」
???「みきも年頃だからな、勇者殿と婚約する日も近いか」
みき「かなお父様///私はまだ…勇者様のことをよく知りません」
かな「いずれはそうなるだろう、あはは」
メアリー「あなた、みきちゃんにはまだ早いわ」
「絶対婚約なんて認めないんだから!」
天の声[お前…またそんなことしてるのか……]
[つか、お前がお母様ってどういうことだよ!お前王だろ]
メアリー(あれ?カオスさんいたの?)
(私とかなはふたなりなの、孕ませるつもりが逆に孕まされちゃったのよ)
(それでできた愛の結晶がみきちゃんよ)
天の声[ややこしすぎるわ]
[どこから突っ込めばいいんだよ!]
[またうp主に怒られるぞ]
メアリー(これは僕の特権、権限は僕OK?)
(ある程度は好きにしていいって言われてるからね)
天の声[もう好きにしろよ]
メアリー(そのつもり)
(さて、そろそろ傍観するのも飽きてきたな)
(こっちも色々準備を進めていこう)
〜カルミナ町〜
ヒルトミ「鶏肉が金貨5枚とかまじがよ……かなりの出費だぜ」
ミシェル「鶏肉鶏肉〜♪」
ヒルトミ「食材や調味料はこれくらいで十分か」
「まさか米があったのは驚いたが何より銅貨5枚は安すぎだろ」
「どうなってんだ?」
ミシェル「先生……」モジモジ
ヒルトミ「なんだ?」
ミシェル「ミミ、おしっこ…」
ヒルトミ「そうか、この近くにトイレはないのか?」
ミシェル「先生…我慢できないよ……」モジモジ
ヒルトミ「まずいな、こんな街中でさせるわけにもいかない」
「ギルド教会まで我慢できないのか?」
ミシェル「ミミ、歩けないよぉ……」
ヒルトミ「世話が焼けるな……」スッ
「ほら、おぶってやるから乗れ」
ミシェル「ミミ、抱っこがいい」
ヒルトミ「ぜーたく言うな、早く乗れ」
ミシェル「うん……」ギュッ
ズーン
〜ギルド教会〜
ヒルトミ「…」←壁にもたれ腕組みしながら待っている
テクテク
ヒルトミ「もう済んだか?」
ミシェル「うん!先生ありがとう!」
ヒルトミ「そうか、行くぞ」テクテク
ミシェル「待って!」タッタッタッ ガシッ
ヒルトミ「はぁ……」テクテク
ミシェル「むみぃ〜♪」
ヒルトミ「せっかくここへ来たんだ」
「シャワーだけでも浴びていくか」
「ミシェル、悪いが待っていてくれないか」
ミシェル「ミミも入る!」
ヒルトミ「そうか」
「出たらここに集合だ」
ミシェル「わかった!」
〜〜〜〜〜
ジャアアア
ヒルトミ「凄いな、傷すら残ってねぇ」
ゴシゴシゴシゴシ
「おぉ!ヒルトミじゃないか!」
ヒルトミ「げっ……お前は…」
サムザー「こんなところで会うなんて奇遇だな!」
ヒルトミ「………」
サムザー「どうしたんだ?」
ヒルトミ「………」サッ テクテク
サムザー「おい、湯に浸かって行かないのか?」
ヒルトミ「俺はシャワーを浴びに来ただけだ」
サムザー「せっかくあったんだ、少し話をしないか」
ヒルトミ「…なんだよ」テクテク
チャポン
サムザー「まずは疑いが晴れたこと良かったな」
ヒルトミ「元はといえばお前が勘違いをしなければこんなことにはならなかったんだがな」
サムザー「あぁ、その事なんだが」
「ちゃんと謝罪が出来なかったからな本当に済まなかった」
「風呂から上がったらなにかご馳走様しよう」
ヒルトミ「別にいい、人を待たせてんだ」
サムザー「ならその人たちも連れてくるといい!」
ヒルトミ「なぜそこまで?」
サムザー「こうでもしないと俺の気が済まないからな!」
ヒルトミ「そうかよ」
サムザー「1つ頼みがある!」
ヒルトミ「頼み?」
サムザー「もう一度俺と戦ってくれないか?」
ヒルトミ「なぜまた?」
サムザー「最近骨のある奴がいなくてな、なかなか本気が出せなくて身体が訛ってしまってな」
「お前は強い!」
「だから次会ったら頼もうと思ってな」
ヒルトミ「そういうことか」
「それなら、腕に自信があるやつを俺は知ってる」
「ソイツは俺よりも強い」
サムザー「それは本当か!どんなやつなんだ!」
ヒルトミ「ソイル俺の親友で、勇者だ」
第5章 旅の始まり
〜夜〜
ヒルトミ「………」
エマ「待たせたな、ちょっと服を見ていて遅くなってしまってな」
ルーチェ「おまたせ……」
サムザー「君たちがヒルトミの仲間だな!」
エマ「そうだが、アンタは?」
サムザー「俺はサムザー・アラバンだ!」
「こう見えてギルド幹部をしているぞ!」
エマ「幹部!?」
「これは驚いた…ヒルトミ、幹部様とどういう関係なんだ?」
ヒルトミ「こいつは…」
サムザー「ヒルトミは俺の友だ!」
ヒルトミ「おい、いつから俺とてめぇが友になったんだ?あん?」
サムザー「俺が認めた時点でお前は友だ!」
ヒルトミ「チッ…」
エマ「そうか…アンタ顔が広いんだな」
ヒルトミ「勝手にこいつが言ってるだけだ俺はこいつとは関係ない」
サムザー「さぁ、君たちもお腹がすいているだろう!どんどん食べてくれ!」
エマ「どれも美味しそうだな、いいのですか?」
サムザー「ヒルトミの友は俺の友!好きなだけ食べてくれ!」
エマ「あ、あぁ…ありがたくいただく」
ガァ サッ←椅子に座る
ルーチェ「どうも……」
ガァ サッ
エマ「いただきます」モグモグ
「美味い!」
サムザー「口に合って良かった!」
ルーチェ「………」モグモグ
ヒルトミ「なぁ、お前幹部だろ仕事は?」
サムザー「今日は非番なんだ、だから酒も飲めるぞ!」
「ヒルトミも飲むか?」
ヒルトミ「じゃあ、ビール」
エマ「カルモネ酒はあるか?」
ヒルトミ「カルモネ?」
エマ「カルモネの実を使った果実酒だ」
サムザー「あるぞ、では早速頼もう!」
ルーチェ「それじゃあ、私も……」
ヒルトミ「なら俺も1つ頼もう」
サムザー「ビール2つとカルモネ4つ頼む!」
エマ「そういえば、ミシェルの姿が見えないが?」キョロキョロ
ヒルトミ「あぁ、エマ達を待ってる間に寝てしまってな」
「店の人に頼んで中で休ませてる」
エマ「そうだったのか」
「お待ち〜」
サムザー「届いたな!頂こう!」
「カンパーイ!」
ヒルトミ「乾杯」ゴクゴク
「……美味しい」
エマ「だろ!俺酒の中でこれが1番大好きなんだ」
ルーチェ「……」ゴクゴク
「ふぅ……」
「えへへへ……」
「ヒルトミさ〜ん」ギュッ
ヒルトミ「おい…もう出来上がっちまってるのか?まだ1口しか飲んでないだろ」
エマ「しまった…ルーチェはお酒を飲むと……」
ルーチェ「ちゅ〜」
ヒルトミ「やめろ!」ガシッ
サムザー「ヒルトミも隅に置けないな!」
「こんな可愛い子を2人つかまえて、さてはハーレムを作るつもりだな!」
ヒルトミ「人聞きの悪いことを言うんじゃねぇ!」
エマ「賑やかだな!ははは」ゴクゴク
ルーチェ「ヒルトミさん、私の初めて……もらってください」ギュッ
ヒルトミ「いらん、離れろ!」
「これでは酒が飲めん……」
エマ「ルーチェ、冗談はそのくらいにしてあげるんだ」
ヒルトミ「今の冗談だったのか?」
エマ「お酒を飲むと男に絡む癖があってな、いつも最後は冗談って言って大人しくなるんだ」
ヒルトミ「そうか」ゴクゴク
ルーチェ「冗談?」
エマ「ほらな」
ヒルトミ「ふーん」ゴクゴク
チュッ←頬にキス
ヒルトミ「ぶぅー!?」
エマ「ルーチェ……お前」
ルーチェ「冗談でこんなことしないよ?」
サムザー「くぅー……羨ましいぞヒルトミ!」
ヒルトミ「油断した……」ガクッ
その夜はとても賑やかな夜になった。
〜朝〜
ヒルトミ「イテテ……頭が……昨日は飲みすぎてしまったか」
「確か、酔い潰れた2人を担いで宿に……」
ルーチェ「すぅ……」
「……」バッ
ヒルトミ「ルーチェ起きたか……」
ルーチェ「あれ……」キョロキョロ
ヒルトミ「大丈夫か?」
ルーチェ「………」
「なんで私ヒルトミさんと一緒に……」
ヒルトミ「覚えてないのか?昨日同じ部屋じゃなきゃやだって頑なに言ってたんだ」
「仕方なく同じ部屋に……」
ルーチェ「…///」カァー
タッタッタッ
ヒルトミ「おい、ルーチェ」
ガチャ バタン
ヒルトミ「………」ポリポリ
「シャワーでも浴びるか……」
〜〜〜〜〜
エマ「お、来たか」
ヒルトミ「寝坊してしまった」
ミシェル「先生遅いよぉ!」ユサユサ
ヒルトミ「イテテ……二日酔いなんだあまり揺らさないでくれ……」
エマ「アンタ黙々と飲んでたからな」
ヒルトミ「エマは大丈夫なのか?」
エマ「あぁ、私は結構酒に強いからな」
ヒルトミ「あんだけ酔い潰れるほど飲んでるのに二日酔いにならないなんて羨ましすぎるぞ」
ルーチェ「………」
ヒルトミ「ルーチェ昨日は……」
サッ←エマの後ろに隠れる
ヒルトミ「ルーチェ?」
ルーチェ「………」
エマ「今はそっとしておいてやってくれ」
「そうだこれ昨日買ったやつだ、収納しておいてくれないか」
ヒルトミ「あぁ」
シュイーン
エマ「あんたも無詠唱でスキルを使えるんだな」
「どうやっているんだ?」
ヒルトミ「頭に思い浮かべたイメージをそのまま使っているだけだ」
「お前らにはできないのか?」
エマ「基本詠唱なしで発動するのは不可能だ」
「それもアンタの力なのか?」
ヒルトミ「さぁな」
「よし、朝食食べたら出発するぞ」テクテク
エマ「あぁ」
ミシェル「今日のご飯はなんだろう!なんだろう!」テクテク
ルーチェ「……エマ」
エマ「ルーチェ」ポンッ
「お前も女だということだ」
「別におかしい事はない、気にするな」
ルーチェ「もう///」
〜カルミナ町〜
ヒルトミ「ようやく俺らの冒険がスタートするんだな」
天の声[色々、まわり道をしてきたからな]
ヒルトミ(この世界に来て数日、冒険者狩りの犯人に間違えられ、ニーナの家族を探し、カルト団体のアジトを潰し、戦場の狂犬を倒し、ギルドの依頼を受け、ソイル達と再会して、遺跡で賢者と会った)
(思い返せば、色々あったよな……)
天の声[別の意味で結構冒険してるよなお前www]
ヒルトミ「チッ…」
エマ「どうした?顔が引きつってるぞ」
ヒルトミ「なんでもねぇよ」
エマ「それならいいが」
ミシェル「わーい!冒険〜冒険〜♪」
エマ「あぁ大冒険にになるだろう、何しろプッシュプルン街はここから数十kmは離れている早くても到着までに2日はかかるだろうな」
ルーチェ「………」
ヒルトミ「結構、かかるんだな」
「ルーチェまだ機嫌悪いのか?」
ルーチェ「………」
ミシェル「ルーチェお姉ちゃん、先生と喧嘩しちゃったの?」
「喧嘩はだめだよ仲直りしよ、ね?」
ルーチェ「………」
「ごめんね、喧嘩してるわけじゃないんだよ……」
ミシェル「そうなの?」
ヒルトミ「ルーチェもし俺がなにか怒らせるようなことをしたなら謝る」
「どうか許してもらえないか」
ルーチェ「……いや、ヒルトミさんのせいじゃ……ごめんなさい」
「昨日あんなことしちゃって……」
ヒルトミ「昨日?なんのことだ?」
「俺ルーチェに何かされたか?」
エマ「私もあまり良くは覚えてないが、ルーチェがヒルトミにだる絡みしてたことじゃないのか?」
ルーチェ「…///」
ヒルトミ「なんだそんなことか、全然気にしてないぞ」
ルーチェ「……え」
ミシェル「なになに昨日何かあったの?」
ヒルトミ「あぁ、酔っ払ったルーチェが俺にベタベタしてきてな」
「キスをしてきて」
バシッ
ヒルトミ「イテ……」
ルーチェ「ヒルトミさん最低……」テクテク
ヒルトミ「また俺怒らせることをしたか?」
エマ「アンタ女心がわからないんだな……」
ヒルトミ「ピュアと言ってくれ」
エマ「ピュアって……アンタの場合鈍感なだけだろ」
〜昼〜
テクテクテクテクテクテク
ミシェル「ミミもう疲れたー」
「もう動けない」
ヒルトミ「2時間くらい歩いているか」
「少し休憩するか?」
ミシェル「冒険やだ帰りたいよ」
ヒルトミ「ミミにとっては今帰ってるところだろ……」
エマ「仕方ない、休憩しよう」
サッ←座る
バタッ ゴロォ ←大の字になり寝っ転がる
ヒルトミ「ふぅ……」
フゥー サアアア←木や草が揺れる音
ヒルトミ「風が気持ちいいぜ」
「…………」←目を閉じる
サッ←ヒルトミの横に座る
ルーチェ「ヒルトミさん……」
ヒルトミ「あ?」
ルーチェ「……さっきはその……殴ったりしてごめんなさい」
ヒルトミ「……結構痛かったぞ」
「その杖、結構いいな」
ルーチェ「ふふ、ヒルトミさんって不思議な人……」
ヒルトミ「なんだよそれ」
ミシェル「あ、あそこにきれいな花が咲いてる!」タッタッタッ
ヒルトミ「あまり遠くへ行くなよ」
ミシェル「むみぃ!!!」
ヒルトミ「ミミどうした!」バッ
エマ「大変だ!」
「ミシェルがモンスター共に囲まれてるぞ」
ルーチェ「そんな……早く助けないと」
ヒルトミ「待て」
「ミシェル!お前戦えるか」
ミシェル「ミミが戦うの!?」
ヒルトミ「お前ならそんなモンスターなんて余裕だろ」
エマ「いや無理だろ」
「こんなことしたら怪我どころではすまないぞ」
ミシェル「ミミやってみる」
シュイーン←変身
エマ「なっ……姿が変わったぞ!」
ミシェル「いっくよー」
ブーン ブーン ブーン
モンスター「ミュルルルル」ポンッ
ミシェル「それ!」
ブーン ブーン ブーン
シュン シュン シュン
モンスター「ギュエ」ポンッ
ポンッ ポンッ ポンッ ←モンスターが消滅する音
ミシェル「わーい!ミミ倒したよ!」
ルーチェ「ミシェルちゃん強い」
エマ「驚いたまさかこんなに強かったとはな」
ヒルトミ「ミミ、よくやった」
「さぁ、そろそろ休憩を切り上げて行くか」
ミシェル「えー、ミミ疲れちゃったよ」
ルーチェ「もう少し休む?」
エマ「そうしてあげたいがこれではいつまでたってもプッシュプルン街に近ずかないぞ」
ヒルトミ「だな、ミミの両親もきっと心配してるだろうから一刻も早く送り届けないといけねぇし」
エマ「アンタそんなキャラだったか?」
「俺らとあった時とだいぶ感じが変わったよな」
ヒルトミ「は?仲間を思うのは当然のことだろ?」
「お前らと初めてあった時はあまり関わりたくなかったから素っ気ない態度をとっていただけだ」
エマ「そ、そうか……すまんあの時は強引だったな」
ヒルトミ「ふん、そんなの今更だ」
「もう俺らは仲間だろ?」
エマ「ヒルトミ……」
ルーチェ「仲間だって思ってくれてるんだ……」
ヒルトミ「チッ……くだらん話をしてないで早く行くぞ」テクテク
エマ「あぁ」テクテク
ルーチェ「ふふ、ヒルトミさんは素直じゃない……」テクテク
ミシェル「待ってー、置いていかないで!」タッタッタッ
「ねぇ抱っこして」テクテク
ヒルトミ「自分で歩け」テクテク
「イヤなら置いていくぞ」テクテク
ミシェル「えー、どうして!」テクテク
「足が痛くて限界なの!おんぶでもいいからお願い!」テクテク
ヒルトミ「ちゃんと歩けてるじゃねぇか!」
エマ「あの2人仲がいいな」
ルーチェ「え……どこが……?」
〜夕方〜
ミシェル「むみぃ〜♪むみぃむみぃ〜♪」
ヒルトミ「………重い」
「そろそろキツくなってきたぞ……」
エマ「だいぶ暗くなってきたし、今日はこの辺で休むか」
「ちょうど腹も減ってきた」
ミシェル「ミミもお腹ペコペコ」
ルーチェ「うん」
〜〜〜〜〜
ヒルトミ「こんなもんでいいか、ルーチェここに火をつけてくれ」
ルーチェ「わかった」
「ファイアー」ブオオ
ヒルトミ「完璧だ、ありがとう」
ルーチェ「うん……」
エマ「こっちはテント張れたぞ!」
ヒルトミ「ミミは?」
エマ「ご飯出来るまで寝ると言っていたぞ」
ヒルトミ「自由人だな……」
「まぁいい、早速料理をしよう」
エマ「お前料理作れるのか?」
ヒルトミ「簡単なものならな」
「調理器具と食材を見て何を作るか考えるかな」
シュイーン←調理器具と食材を取り出した。
ヒルトミ「色々、あるんだな」ガサゴソ
「これは……飯盒炊爨?」
エマ「あぁ、それか初めて見るやつだったが、銀貨1枚だったからなとりあえず買ってみたんだ」
ヒルトミ「は?銀貨1枚!?」
「……米関連が何故こんなにも安いんだよ……」
「……まぁいい、この鍋と飯盒炊爨があるのなら俺が買った食材でカレーライスを作ることが出来そうだ」
ルーチェ「カレーライス?聞いたことない……」
「それって美味しいの?」
エマ「俺も初耳だな、楽しみだ」
ヒルトミ(ルーが売ってないことを考えてカレーを知らないのは予想はついていたが)
「俺がいた世界の料理だ、食材やスパイスも若干違うから俺の知るカレーを再現出来るか知らないが」
「きっと気に入るはずだ」
〜〜〜〜〜
エマ「ヒルトミ食材を切ったぞ」
ヒルトミ「あぁ」
エマ「他に手伝わなくて大丈夫か?」
ヒルトミ「後は任せて出来上がるまで待っていてくれ」
エマ「わかった」
ジュゥーーーー ←野菜や肉を炒める
ヒルトミ「塩とペッパーをかけて、焦げないように混ぜる」
ルーチェ「あっちの方に綺麗な川があったから水汲んできた……」
ヒルトミ「あぁ」
「もう大丈夫だからテントに戻っていてくれ」
ルーチェ「………」ジィー
ヒルトミ「気になるのか?」
ルーチェ「見ていてもいい……?」
ヒルトミ「好きにしろ」
グツグツグツクワツ
ヒルトミ「やはり、キャンプとかする時カレーを作るのは定番だよな」
天の声[異世界転生してカレーを作るのも定番だな]
ヒルトミ(そうなのか?俺は最近のアニメやラノベは知らん)
天の声[カレーは我らのいた世界の定番料理だからな、カレーが嫌いな奴はいない]
ヒルトミ「確かに」
サッサッ←スパイスを入れる
ヒルトミ「これは香りをつけるスパイスか、こっちは辛さをつけるスパイスでこっちが着色……」
「混合スパイスってなんだ?」
「とりあえず沢山買ってきた調味料を色々試してみるか」
サッサッ
スゥ ゴクッ
ルーチェ「いい匂い……美味しそう」
ヒルトミ「うーん、まだ味が薄いな、でもカレーらしくなってきた」
「もう少し入れてみよう」
サッサッ
スゥ ゴクッ
ヒルトミ「うん、辛さや濃さはこれくらいでいいな」
「でも、何かが足りない」
「何が足りないんだ?」
「そうか、これを入れるか」
サッサッ
ルーチェ「それは…コーヒー?」
ヒルトミ「あぁ、コーヒーを入れたらコクが出るからな」
「完成だ、あとは米が炊けるのを待つだけだな」
グツグツ
〜〜〜〜〜
エマ「おぉ、これがカレーというものか」
「見た目はあれだが、食欲をそそるいい匂いだ」
「いただきます」パクッ
ルーチェ「いただきます……」パクッ
モグモグ
ヒルトミ「どうだ?」
エマ「美味い!これはいけるな!」
ルーチェ「うん……美味しい……」
エマ「驚いたぞヒルトミがこんなに料理が上手いなんてな
ヒルトミ「気に入ってもらえて何よりだ」
「初めて使う食材だからどうなるかと思ったがどうにでもなるもんだな」
ミミ「おはよう…」ゴシゴシ
ヒルトミ「起きたか」
「晩飯できてるぞ」
ミシェル「ミミお腹すいた!食べる食べる!」
ヒルトミ「ほら、食え」スッ
ミシェル「これなあに?」
ヒルトミ「カレーだが、やっぱり覚えてないのか」
ミシェル「カレー? いっただきます!」パクッ
モグモグ
ミシェル「むみぃ〜!とっても美味しい!」
ヒルトミ「それは良かった」
ミシェル「でもこの味、懐かしい気がするの」パクッ
「むみぃ〜」
ヒルトミ「そうかよ」
ミミ「決めた!ミミね15歳になったら先生と結婚するの!」
ヒルトミ「はっ?」
エマ「ははは、ヒルトミはモテモテだな」
「俺もカレーが食べれるならヒルトミと結婚してもいいと思ったぜ」
ヒルトミ「なんだよそれ、まるでカレーと結婚するようなもんじゃねぇかよ」
ルーチェ「結婚か……」ジィー
ヒルトミ「ルーチェどうした?そんなに見つめてきてよ」
ルーチェ「な、なんでもない……」
バッ←立ち上がる
テクテク
ヒルトミ「どこへ行くんだ?」
ルーチェ「ちょっと……」テクテク
ヒルトミ「ルーチェどうかしたのか?」
エマ「アンタ、デリカシーってもんを知らないのか?」
ヒルトミ「どういうことだよ……」
エマ「全く……トイレだよ」
ヒルトミ「そういうことか、それならそう言えよ」
「突然離れたら心配するだろ」
エマ「それはそうだが……異性の前でそんなこと言えないだろ」
ヒルトミ「そういうもんなのか?」
〜深夜〜深夜
エマ「」zzz
ルーチェ「すぅ……」zzz
ミシェル「先生……」
ヒルトミ「眠れないのか?」
ミシェル「……あのね、ミミおしっこ行きたい」
ヒルトミ「そうか、それなら行ってこいよ」
ミシェル「暗くて怖いからついてきてほしいの」
ヒルトミ「はぁ……仕方ないか」
テクテク
ヒルトミ「この辺でいいか」
「自分で穴掘ってできるな?」
ミシェル「うん」
ガリガリ
ヒルトミ「じゃあ、俺は近くにいるから早く済ませろ」
ミシェル「うん」
「先生、見られてたらできない……」
ヒルトミ「そうか」クルッ
ミシェル「あと耳も塞いでて」
ヒルトミ「…………」←耳を塞ぐ
ジョロロロ
ヒルトミ(耳を塞いでても若干聞こえるな……)
ガシッ
ヒルトミ「もう済んだか?」
ミシェル「あのね、拭くもの持ってない」
ヒルトミ「紙なら持ってるぞこれでいいか?」
ミシェル「先生ありがとう!」
サッ フキフキ
ヒルトミ「ちょっ!」
ミシェル「むみぃ?先生どうしたの?」
ヒルトミ「なんでもねぇ……」
(こいつ……小便してるところ見られたり音を恥じらうくせに人前で堂々と……)
(どっかズレてるな)
ミシェル「むみぃ?」
〜次の日〜朝
エマ「おはようヒルトミ」
ヒルトミ「あぁ、もうメシできてるぞ、朝食食べたらすぐ出発だ」
〜〜〜〜〜
ギギギィ
ヒルトミ「この吊り橋大丈夫なのか……」
「すごい軋む音がするんだが」
エマ「ここしか向こうに渡れそうにないし仕方ないだろう」
ルーチェ「もしこんなところから落ちたら……」
ヒルトミ「考えたくはないな」
ミシェル「大丈夫だよ、ミミは以前ここを通ったことあるけど落ちなかったよ」
エマ「とにかく、もしものことを考えて1人ずつ通った方がいいかもしれないな」
ルーチェ「誰から通る?」
エマ「俺から行こう」テクテク
グラグラ
ギィー ギィー ギィー
エマ「よし、通ってきてもいいぞ」
ミシェル「次はミミが通るね!」
グラグラ
ギィー ギィー ギィー
ヒルトミ「次はルーチェが通ってくれ」
ルーチェ「私…」ビクビク
ヒルトミ「怖いのか?」
ルーチェ「……」コクッ←頷く
ヒルトミ「エマ、ミシェル」
「お前らは先にプッシュプルン街へ向かっててくれ」
エマ「どうかしたのか?」
ヒルトミ「ルーチェが通れそうにないんだ」
「俺らは別の道を探すことにする」
「1人にするわけにもいかないからな」
エマ「あぁ…そういえばルーチェは高所恐怖症だったな」
「わかった、この先数十km離れたところに宿泊施設があるはずだ」
「そこで合流しよう」
ヒルトミ「あぁ」