ヒルトミ裏劇場 次元を超えた悪夢

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最強の無能力者が能力至上主義の世界で無双する

    【1ヶ月前俺は死んだ】


1章 身体の持ち主


どうやら転生したらしい。一概にも俺が知ってる転生とはワケが違った。

生まれ変わったわけでも生前俺の姿のままってわけでもない。簡潔に言ってしまえば憑依したと言うべきか、この世界に住む誰かの身体に憑依したのだ。

それがこの髪の長い銀髪の美少年である。

ヒルトミ「ふわぁ〜」(*´Oゞ

俺は大きなあくびをしながら崖上に座り足をぶらぶらさせてた。

顔も体型も声も全て含め中性的でパッと見女だが間違いなく男だ。

ヒルトミ「いい加減こんな生活うんざりする……」

    「お前もそう思うか?」

俺はそう言って胸に手を当てる。

すると、それに頷くようにトクンと心臓が鼓動を打つ。

そう、俺はこの身体の主導権は握っているもののこの身体の持ち主の魂はちゃんと残っている。

実際【こいつ】が言いたいことは分からないが思っていることは大体伝わってくる、これが意思疎通というのかな?ふとそう思っていたら何故か笑われた気がした。

何か間違っているだろうか……

ヒルトミ「チッ……このまま逃げていても仕方ないだろ」

    「そろそろこっちから動くべきじゃねぇのか?」

俺は自分に言い聞かせるように口にして言った。

ヒルトミ「……大丈夫だろ、弱気になってんじゃねぇよ」

恐怖と言うやつか、そんな感情が伝わってきた。まぁその気持ちはわからんでもない。

この世界は弱肉強食、能力を持つ者は優遇され能力が無い者に人権などない。

【こいつ】が怯えてるのは紛れもないことなぜなら……【こいつ】は無能力者だから。


無能力者が能力至上主義の世界で無双する


注意

1この物語はフィクションです。

2人物、場所は実在しません(例外あり)

3元ネタ、二次創作が含まれていますオマージュバンザイ(ノ≧∀≦)ノ

4暴言、暴力等 センシティブな表現が含まれています。


「見つけたぜ、今度は逃げんじゃねぇぞ」

男はナイフを弄びながら俺にかざす。

このゴミとは追いかけっこをして数十日たっているが、ここまでしつこいと俺も流石に……


ヒルトミ「頃合いだろ……」

 俺はそう言って身構える。

案の定と言ったところかやはり足が竦む

勿論俺は怖くない、なんせ相手が能力もちだろうがこんな雑魚に負ける気がしないのだ。

心の中で覚悟を決めろと何度も言い聞かせる。


???「無能力者の癖に俺に抵抗する気か?」

   「ふん、それならお望みどおりぶっ殺してやるよ」

男は俺が無能力者だからって油断しているようだ。

哀れだ、あいつが能力持ちだと言っても俺とあいつの差はどう見ても瞭然だ。

たとえ、100人で束になってきても負ける気がしない。


|)彡 サッ

思い切り地面を蹴り、相手との距離を詰める

その瞬間、物凄い轟音が鳴り響く

ズコンッ

「ぐはっ!?」


男は空へ身体が吹っ飛び俺は……

|)彡 サッ

俺は空へ大きくジャンプして一言言う

ヒルトミ「死ぬんじゃねぇぞ!」

バコンッ ガガガガガ

踵を落とし男を地面へ叩きつける。

砂埃が舞地面に穴ができる。

ようやく砂埃が消え男の姿が見える

俺は近づいて生死を確認する。

どうやら死んでいるようだ。


ヒルトミ「チッ……手応えのねぇやつだ」

その瞬間、殺してしまったという罪悪感のようなものが芽生える。


ヒルトミ「初めての人殺しか?」

    「……この世界は弱肉強食、殺らなきゃ殺られる世界だ」

    「この経験は必ず役に立つ」

    「そう気にするな……」

殺すことは抵抗はない。だが、俺も無駄な殺生はしたくない、殺さなくていいのならそれに越したことはないだろ?

きっと【こいつ】は優しい心の持ち主なんだろう

懺悔の気持ちが伝わってくる。


ヒルトミ「……なぁ、お前はすげーよ」

    「正直無能力者のお前がなぜこんな素の力が強いのか」

    「きっとお前は、能力がないなりにしっかり実力をつけたんだろうな」

そうこの力は俺の力では無い。そもそも俺の世界でこれほどの威力を出す人間はまずいない。

人間とは言え、俺の世界の人間とこっちの世界の人間では体の構造が違うのだろう。

だが運がいい、【こいつ】の体術と俺の大剣スキルがあればもはや敵などいない。

まさに……

最強の無能力者だ!


ヒルトミ「少しは落ち着いたか?」

    「………」

    「なら、出発するか」

    「お前の願望を叶えるために」

グゥ〜

    「その前に食べれるものを探さないとな」

身体の主は俺に腹の音を聞かれて少し照れているのか少し顔が熱い。

別に腹の音くらいなんでもないだろ。


ヒルトミ「何照れてんだよ……行くぞ」テクテク

まぁ、食べ物を探すなら街に行くのが手っ取り早いだろう。

だが、流石にそんなことはできない。

指名手配されているからだ。

さっきも説明したが、この世界は能力者は優遇され無能力者は人権がない。

17歳になっても能力が開花しないと、もう一生能力が開花することは無い。

つまり国からしたら存在価値がない

だから17歳になっても無能力者のやつは問答無用で死刑になる。

そんな世界なのだ。

ちょうど【こいつ】が処刑される直前で俺は憑依してしまったのだ。

タイミングがいいのか悪いのか、俺は何とか命からがらその場から逃げて1ヶ月、現在に至るわけだ。

さっきの男のように俺の命を狙って追ってくる

その状況で人が多いところには行けないだろう

サバイバル生活を余儀なくしてる。


ヒルトミ「ハハ……食べれそうなものはこの辺じゃ見つからねぇな」

正直限界だった……もう一日は何も口にしていない……喉もカラカラだ……水浴びとかは定期的にしているが風呂にも入れない。

こんな大変なものだとは思わなかった。

もし生前の身体であれば3日は食わなくてもピンピンしているだろうが……

この身体は1食抜くだけでもかなりしんどい……つまりピンチということだ。

ヒルトミ「ダメだ……体力が持たねぇ……」

    「ここまでなのか……」バタッ

俺は力尽きて倒れてしまった……

どうやら【こいつ】も限界らしい、あぁ……だからか


「おい、こいつが指名手配の無能力者か?」

「こいつを殺せば大金を手に入るチャンスだぜ!」

「兄貴、すぐ殺っちゃいましょうぜ〜」

ヒルトミ「……こんな時に」

本当にタイミングが悪い……俺は族のような奴らに囲まれていた。

俺は髪を捕まれ、首にナイフを突きつけられた。


「悪く思うんじゃねぇぞ」

「恨むんなら、無能力者である自分を恨むんだな」

ヒルトミ「舐めやがって……」

絶対絶命の状況で【こいつ】は半ば諦めているのだろう。

抵抗する気が起きなかった。


ヒルトミ「また俺は死ぬのか……」

そう呟いた瞬間何かが猛スピードでナイフを持った男に突き刺さる……。

その瞬間苦痛のような叫びが響き渡る。


「うわあああ!痛てぇ!痛てぇよぉぉぉ!」

「誰だ!」

兄貴と言われた男がそう叫ぶ。


???「弱いものいじめなんて、感心しないわね」

女の声?しかも聞き覚えがある声だ。

その声の主は俺の前にたった。

???「大丈夫?怪我はないみたいね?」

   「間に合って良かったわ」

俺の顔を見つめてそう微笑む女は俺のよく知る顔をしていた。


ヒルトミ「…お前は……」

レミリア「レミリア・スカーレットよ」

     「たまたま見かけたから助けてあげる」

レミリアはそういい族の方へ視線を向ける


レミリア「さぁ、貴方たち覚悟できているわよね?」

「舐めやがってこんなことをしてただで済むと思うなよ!」

「待ってくれ兄貴……こいつは……」

「ま、まさか……レミリア・スカーレット!?」

レミリア「気安く名前を呼ばないでくれるかしら?」

    「これでも政府側の人間よ」

    「私に危害を加えればどうなるかわかるかしら?」

「分が悪い……ここは引くぞ」

男たちは一目散に逃げ出した。


レミリア「貴方、ボロボロね」

    「それに少し臭うわよ」

ヒルトミ「……ありがとう」

レミリア「ねぇ……貴方指名手配の無能力者?」

ヒルトミ「……そう言ったらどうするんだ?」スッ…

フラフラになりながら立ち上がり俺はレミリアに言った。

そう、レミリアがさっき言ったことが事実なら俺はレミリアの敵になる……。

政府……つまり国の犬ってわけだ。

俺は最悪殺されるかもしれない、警戒をしながらレミリアの返答を待つ。

レミリア「そう……貴方が」

    「……」

ヒルトミ「どうした?俺を殺すつもりか?」

レミリア「……1つ質問いいかしら」

    「貴方本当に無能力者?」


第2章 住む場所


ヒルトミ「……あぁ」

レミリア「そう……」テクテク

    「あくまでもシラを切るつもりなのね」

    「私を見くびらないことね」

    「本当に貴方が無能力者なのなら私は貴方を殺さなくちゃいけない」

やはり、レミリアは今回は敵のようだ。

そう思った瞬間レミリアは言葉を続ける。


レミリア「でも……私はあなたを殺すことはきっとできない」

レミリアの口からそんな言葉を聞くなんて意外だった。

レミリアの実力があればこの身体を木っ端微塵にすることも容易いだろう。

それなのになぜできないと言った?

全く理解出来なかった……。

だから俺は質問をした。


ヒルトミ「それは何故だ?」

レミリア「そうね、理由は3つ」

    「1つ目は貴方が普通じゃないということ」

ヒルトミ「普通じゃない?」

レミリア「能力のない者ならなんにも感じない」

    「でもね、貴方たからは関わっちゃダメだと警戒するほどの力が隠されている……。それも私の身体を蝕むようにピリピリと伝わってくるわ」

    「貴方は普通じゃないってね。むしろ恐怖すら感じるわ」

おそらく感覚的なものなのだろう。

きっとレミリアは何か感じ取っている。

だが、俺自身こいつに何かあるとは到底思えない。むしろズバ抜けた身体能力意外目星能力のようなものは感じないのだ。


レミリア「2つ目 私の目的は運命(彼)を探すため、貴方を殺すことは興味が無いのよ」

    「この世界にいるとは思うのだけど……」

    「3つ目は……いえ、言うのは辞めておくわ」

    「貴方を殺せない理由は十分伝わったでしょ?」

レミリアは笑を浮かべながらそう言った。

レミリアの話を聞くにどうやら俺を探しに来たようだ。

運命操作これが俺にはかかっている。俺がどこにいるかはレミリアはだいたいわかるようだ。

おそらく俺が死んだことによって魂がこの世界に飛ばされた。それを知ってレミリアはここに来たのだろう。

でも相変わらずどうやって世界を超えているのかは俺には全くと言ってもいいほど分からない。

それにしても意外だったな……俺が知るレミリアとは雰囲気が全然違う。

多分俺がヒルトミだとは気づいてないと言うのは間違いないと思うが、きっとこれがレミリアの素なのだろう。

いや、もしくは逆か?俺のレミリアのイメージは変態だから調子が狂うな。


ヒルトミ「そうか、一応礼をいう」

    「見逃してくれるのなら俺はもう行くぞ」

俺はレミリアにそう言い放って、足を踏み出した瞬間力が抜けて転んでしまう……。

そういえば腹が減ってもう動けないんだった……。

どの道俺はこのままだと死んでしまう……。

それを見ていたレミリアが俺の身体を抱え言った。


レミリア「そんなフラフラじゃ私が手をくださなくても死んでしまうわよ」

ヒルトミ「……腹減って動けない……だ」

レミリア「そう、なら私の家へ来なさい」


〜レミリアの館〜

ヒルトミ「………」

俺は正直驚いていた……どう見ても紅魔館そのものだ。


レミリア「何を驚いているのかしら?もしかしてこういう館を見るのは初めて?」

レミリアはクスッと笑いからかうようにそういう。

美鈴「お嬢様おかえりなさいませ」

  「それでそちらの方は……」

レミリア「客人よ」

    「紅魔館への入場を許可するわ」

美鈴「はぁ、かしこまりました……」

レミリア「ところで咲夜は?」

美鈴「一足先に戻られました」

レミリア「流石咲夜ね」

ガーッと音を立て門が開かれる

レミリア「さぁ、入りなさい」テクテク

ヒルトミ「あぁ」テクテク


美鈴「あの客人……ヒルトミさんだよな……」

  「お嬢様もしかして気づいていない……?」

【美鈴の能力気を使う程度の能力から覚醒して気を操る程度の能力になっているため、ヒルトミの気を感知していた。】


レミリア「咲夜!」

パッ

咲夜「おかえりなさいませお嬢様」

  「ただいまご夕食を準備しております」

  「いましばらくお待ちください」

パッ

俺はよく見慣れた光景だがやはりこいつはすごく驚いているみたいだ。

確かに凄い能力だが。弱点を知っている俺からしたらそんな大したことじゃない。

レミリア「あら?驚いてるみたいね」

    「咲夜は私の直近のメイドよ」

    「実力も大したものよ」

おそらく、顔に出ていたのだろう

心に反して

身体は正直と言うべきか。

自分で言うのもあれだが何か間違ってるような気がするが……

まぁ、俺の意思では無いのだからそれも間違っていないのだろう。


ヒルトミ「時間停止の能力……大したことない」

レミリア「よくわかったわね?初見で見抜くなんてやっぱり只者じゃないわね」

    「まぁいいわ、食堂へ行くわよ」テクテク

そうして俺たちは食堂へ行くと既に料理が準備されていた。

やはり咲夜が作った料理は美味しい

生きてるって幸せだと感じた瞬間だった。

ワインも勧められたが身体が飲むのを拒んでいたため渋々飲むのを諦めた。

そういえば【こいつ】未成年だったな……クソ真面目だな。

そして俺は食事をすませ今後どうするか考えていると……

レミリア「貴方住むところはあるの?」

ヒルトミ「……ない」

    「俺は1ヶ月ずっとサバイバルをして生きてきた」

レミリア「そう」

    「じゃあここに住みなさい」

ヒルトミ「……いいのか?」

レミリア「どうせ行く宛てもないのでしょ?」

ヒルトミ「……すまない」

レミリア「気にすることはないわ」

    「それより……先ずはお風呂に入ってらっしゃい」

相当臭かったのだろう、まぁ無理はない

最後に水浴びしたのは4日前だったか、服もずっと同じだしこれで臭くなかったらわけが分からないよな。


〜風呂〜

ジャバーン

ヒルトミ「あー、久々の風呂……悪くない」

体も心もリラックスする。

この世界に来て初めての風呂だ。

まじ天にも登る気持ちだ。

ヒルトミ「にしても、男とは思えない可愛い顔立ちだ」

    「体型もそうだけど声も……これを天性の男の娘というのか」

    「顔だけで言ったらかなりタイプだ」

水面に映る【こいつ】の顔を見つめそういった。

正直羨ましかった。これほど女装が似合いそうなやつはそういないだろう。

化粧とかも必要なさそうだし

少し顔が熱くなっていた。


ヒルトミ「見た目は女だが」

そして俺は一点を見つめ思うのであった。

これが男だと決定付ける証拠だと。

しっかり竿も玉もついているのだ。

ヒルトミ「………熱い」

物凄く身体が熱い、いきなりどうしたんだ……

のぼせたのか?ダメだ頭が回らない

もうでた方が良さそうだ。


〜〜〜〜〜

俺は少し浴室で休憩をしてからレミリアが準備してくれた服を着ようとした。

ヒルトミ「これは……!?」

間違いなく女物の服おそらくレミリアの服だろうか?もしそうなら少し小さいんじゃないかと思ったが案外ピッタリだった。

そして俺は鏡の前へ


ヒルトミ「可愛い!?」

そう言った瞬間再び顔が熱くなった。

間違いない、女装をしてる自分を見て恥ずかしがっているな。

それにしても驚いた……これほど似合うなんて

もう女の子として生きていったほうが幸せなんじゃないかと思うくらいだ。


ヒルトミ「お前似合ってるぞ」ჱ̒⸝⸝•̀֊•́⸝⸝)

鏡に映る【こいつ】に向けてグッドサインを出す

恥じらいながらも怒ってるのがわかる。きっとからかわれてると思ったのだろう。

全然そんなつもりは無いんだのだがな


浴室を後にして俺はレミリアのいる部屋へ向かった。

トントン

俺はレミリアの部屋をノックした。

返事がないのでいないと思いその場を離れようとした瞬間、俺の背後から「どうぞ」っていう声が聞こえてきた。

流石にびっくりした俺はゆっくり後ろを向き声の主を見る。


レミリア「よくこの部屋が私の部屋だとわかったわね」

    「もしかして私のストーカーでもしていたのかしら?」

ヒルトミ「そんなわけがないだろう、俺はここに来たのは初めてだからな」

    「ただ、俺は勘がいいだけだ」

レミリア「勘がいいだけ……ね」

    「まぁいいわ、ちょうど貴方と話したいと思っていたの」

ガチャ

レミリア「さぁ、入って」

レミリアは自室の扉を開き俺を部屋へ招く


ヒルトミ「邪魔するぞ」

部屋に入り、レミリアはソファに腰をかける

俺はレミリアと対面するようにソファへ座りレミリアからの話してくるのを待つ。

しばらく沈黙が続くがしばらくしてレミリアは口を開く。


レミリア「ふふっ、その服似合ってるわね」

ニヤリと笑を浮かべ話を続ける。


レミリア「とりあえずサイズはピッタリみたいで良かったわ」

ヒルトミ「この服お前が作ったのか?」

レミリア「あら?よくわかったわね」

   「まぁ、正確には私がデザインしたものを咲夜が作っているのだけど」

    「我ながら素晴らしいセンスね」

ヒルトミ「そうか、俺も気に入った」

レミリア「一応確認だけど殿方で間違いないわよね?」

やはり気づいていたか、レミリアといいフランといい性別の判断はできるみたいだ。


ヒルトミ「あぁ、正真正銘俺は男だ」

レミリア「そう」

    「望むなら男性物の服を作ってあげてもいいのよ」

ヒルトミ「いや、可愛い服は好きだ」

    「これでいい」

【こいつ】は今まで女装をしたことがないのだろう。

少しモヤっとする気持ちが芽生えるが、可愛いから自信持てと何度も宥めるように心で言い聞かせる。


レミリア「そういうことなら同じ服いくつか作ってもらうことにするわ」

ヒルトミ「いいのか、そこまでしてくれて」 

レミリア「気にする必要はないわ」

ヒルトミ「感謝する」

レミリア「ところで私からも1ついいかしら?」

    「ヒルトミという男に会ったことある?」

俺は一瞬ドキッとした。本当はレミリアは俺の事に気づいているのか?もしそうだとしたら俺にここまでしてくれるのと辻褄が合う

まさか俺が真実を話すのを待ってるのだろうか?

いや違う、うすうすは気づいてるけど確信がないから聞いたのだろう。

それなら言うことは一つだ。


ヒルトミ「さぁな」

レミリア「……そう」

ため息をつきながらレミリアは俯いた。

こんな顔をするとは思わなかった。

でも悪いな、ヒルトミが俺だと気づかれるのは不味い少なくとも今はまだ。


ヒルトミ「もし、そのヒルトミというやつを見つけたらどうする気だ?」

レミリア「貴方がそれを知る必要はないわ」

    「疲れているでしょ?部屋は準備してあるわ」

    「しっかり休みなさい

もう話すことはないのだろう。

俺はレミリアの部屋を後にした。

長い廊下を歩いていると目の前に咲夜が現れた。

咲夜「ヒルトミ様、寝室はこちらです。」

ヒルトミ「何を言っているんだ?俺はヒルトミじゃないぞ」

咲夜「美鈴から聞いていますよ」

  「間違いなくヒルトミ様だと」

あぁ、そうか

あいつの能力なら俺の気を感じ取るのは可能だろう。咲夜が知っているのならレミリアにバレるのは時間の問題。

もう隠すことは出来ないか。

俺は意を決して頷いた。

ヒルトミ「バレているのなら仕方ない……か」

    「それで?俺がヒルトミだからってどうするんだ?」

    「レミリアにそのことを伝えるつもりか?」

咲夜「レミリアお嬢様のメイドですから」

ヒルトミ「そうか」

咲夜「口止めしないのですか?」

ヒルトミ「……お前と戦うの骨が折れる」

咲夜「ご謙遜を……」

  「ですが、私が伝えなくともお嬢様は勘づいてるでしょう」

  「……今回だけですよ」

ヒルトミ「いいのか?」

咲夜「はい、私もあんなお嬢様は見たくないですから」

ヒルトミ「あぁ、同感だな」

どうやら、言わないでくれるみたいだ。

咲夜が黙っていてくれれば、しばらくはごまかせるだろう。

後で美鈴に口止めしておかないとな。

俺は咲夜に案内され寝室へと向かった。


フラン「ふ〜ん、面白いこと聞いちゃった」


〜翌日〜

私は目を覚まし準備をして学園へ来ていた。

レミリア「そういうわけで指名手配の無能力者は私の屋敷で保護しているわ」

???「ふん、無能力者ねぇ」

レミリア「興味無さそうね」

???「能力を持たない者など興味ないのは当然だ」

レミリア「でも、私は貴方と無関係とは思えないわ」

???「?」

レミリア「あの子気色悪いほど貴方に似てるのよ」

???「俺に似てる?」

レミリア「それこそ違いといえば瞳の色だけ」

???「……まさかな」

レミリア「心当たりがあるのかしら?」

???「それで?その無能力者は今後どうするつもりだ?」

レミリア「あの子が望むなら保護を続けるつもりよ」

???「保護を続けるつもりならこの学園へ入学させたらどうだ?」

レミリア「貴方の口からそんなことを言われるなんて意外よ」

    「でも、もし指名手配の無能力者を庇ってることを国にバレたら貴方の立場やこの学園が危うくなるんじゃないの?」

???「それを言うならお前もそうだろ?」

   「お前を失うのは俺としても損失が大きすぎる」

レミリア「あの子に入学する意思があるか聞いてみるわ、学園長」


〜〜〜〜〜

俺はふと目を覚ました。

瞬間異変に気づく、やけに静かだ

外の状況を確認するため俺は寝室をでた。

すると……。


ヒルトミ「誰だ?」

微かにだが、殺気のようなものを察知して俺は姿の見えない奴に問いかける。


???「なんだバレてたのか」

   「完全に姿を消していたつもりだったんだけどね」

そう言って、男は俺の目の前に姿を現した。

年齢は17歳〜18歳くらいだろうか?

美男という言葉がふさわしい様子をしている。


ヒルトミ「何が目的だ?」

疑問に思ったことを直接聞いてみる。


???「うーん、ただの暇つぶしかな?」

こいつ舐めてやがるな

やはり答えるつもりはないらしい。


ヒルトミ「どうやって、侵入した?」

    「門番やメイドがいただろ、簡単には入れないと思うんだが?」

男は首を傾げながら答えた。


???「門の前にいた人は眠ってたから簡単に侵入できたよ」

ヒルトミ「……信じられんな」

あいつなら眠っていても気配で気づくと思ったから。

こいつ何かしたか?


???「メイドさんは不意打ちで倒しておいたよ」

そう言って血がべっとりついたナイフを俺に見せてきた。


ヒルトミ「……殺したのか?」

???「適当に刺しただけだからそれは分からない」

   「まだ生きているかもしれないし、もう死んでるかもしれない」

咲夜の実力はよく知っている。

だからこそ不意打ちでやられるようなやつじゃないと思っていた。

もしこいつの言っていることが本当ならかなりの実力者だ、こいつ何者なんだ……。

俺はじわじわと込み上げてくる怒りを必死に抑える。


ヒルトミ「チッ……」

???「君一人?」

   「この屋敷の主がどこにいるか知ってるかい?」

ヒルトミ「さぁな?探していないんなら出かけているのかもな」

???「そうなんだ、もうここにいても意味ないね」

そう言って去ろうとする男に言葉を放つ。


ヒルトミ「待てよ……俺を倒していかないのか?」

???「君、無能力者だよね」

   「僕にとっては敵ではないから、君を倒すつもりはないよ」

ヒルトミ「言っておくけど、俺はかなり強いぞ」

    「咲夜がやられてミスミス逃すと思うか?」

???「別に君が弱いって言ったつもりはなかったけど……」

   「僕の邪魔をすると言うなら容赦しないよ。」

ヒルトミ「10秒だ」

???「?」

ヒルトミ「10秒止まっててやる」

    「軽いハンデだ」

???「君死んじゃうよ?」

ヒルトミ「それならそれでいい、それで死んだのなら俺はその程度だってことだ」

    「ほら、数えるぞ」

    「1、2、3」

???「わかったよ、でも後悔しないでよね」

   「それじゃあ、痛みなく一撃で仕留めてあげる」

ビカッン

男は力を溜めている、光が手に集中している。

気功波のようなものを放つのだろうか?


ヒルトミ「7、8」

???「じゃあね」

ドッカーン

大爆発の衝撃で壁が壊れ【こいつ】の身体は外に吹っ飛ばされる。


???「やはり、死んでるか」

   「残念だよ、もしかしたら生きてるのかもしれないと思った僕が間違ってた」

   「所詮は無能力者ということだね」クルッ テク テク

ヒルトミ「おい、どこへ行くつもりだ?」

男は呆気に取られた表情でこちらを振り返る。


???「あはは、驚いたよ!」

   「まさか生きているなんて!」

ヒルトミ「痛って……お前手を抜いただろ?」

???「そんなつもりはなかったよ、本気で殺すつもりで放った取っておきだったんだ」

   「君強いね、本当に無能力者かい?」

ヒルトミ「あぁ、正真正銘最強の無能力者だ」


第3章 宿敵


俺は男の攻撃を受けて何とか生き残れた……正直当たり所が悪かったら死んでいただろう。

【こいつ】が鍛えていたおかげで体の丈夫さも申し分ない。

ただの人間なら普通は即死レベルだった。


ヒルトミ「お前の強さ、確かめさせてもらうぞ」

シュッ

俺は地面を蹴り一瞬で男へ近く


???「早い!」

バーン

軽く拳を男の腹に入れ込む。


???「がはっ!?」

ヒルトミ「どうした?その程度で終わりか?」

???「う……ハハッ」

    「凄いよ君!ワクワクしてきたよ!」

そう言って男は俺に蹴りを入れる。

ドカッ

ヒルトミ「うっ……全然効かないな」

???「強がっちゃって」

俺は拳を握り直し男の顔面を目掛け振りかぶる。

ドカッ!!

お互いに頬にパンチが炸裂する。


ヒルトミ「チッ……なかなかやるじゃねぇか」

???「まさかこれほど強いとは思わなかったよ」

   「君人間かい?」

ヒルトミ「お前の強さ、だいたいわかった」

    「それじゃあ、少し本気出すか」

???「冗談だろ……まだ本気じゃないと言うのかい……」

そして、お互い強烈な殴り合いが始まった。

バシッ ドカッ バコンッ


ヒルトミ「はぁ……はぁ……はぁ……」

???「………バケモノか」

ヒルトミ「……お前が言うな」

???「ハハ、君に興味が湧いたよ」

ヒルトミ「そりゃどうも……」

一呼吸入れ言った。


ヒルトミ「そろそろ本気の戦いがしたいと思わないか?」

    「お前もそう思うだろ?」

ニヤリと笑い俺は大剣を取り出す。

???「その大剣どこから取り出したんだい?」

ヒルトミ「さぁな、いつの間にかできるようになってた」

???「本当君はバケモノだよ」

男は呆れたようにナイフを出す。

ヒルトミ「勝負はここからだ!」

俺は再び地面を蹴り、男へ斬り掛かる。


レミリア「そこまで!」

鉄と鉄が触れてカキンッと音が鳴るタイミングでお互い動きが止まる。レミリアが帰ってきたようだ……。


レミリア「これはどういう状況か説明してもらえるかしら?」

ヒルトミ「レミリア……」

???「ほう、君が」

レミリア「返答次第では貴方たちには罰を受けてもらうわよ」

明らかにブチギレていらっしゃる……。

こんなレミリアを見たのは初めてかもしれない。

まぁ、無理はないだろう。

簡単に紅魔館に侵入され従者を倒され屋敷が破壊されているんだ。

???「僕がこの屋敷へ侵入してメイドを襲撃した。」

   「その子は僕を止めるために戦っていたのさ」

あ?こいつ俺を庇ってるつもりなのか?

レミリア「そういうこと……貴方たちの処分が決まったわ」

    「貴方はもう二度とこの紅魔館へ立入ることを禁ずるわ」

???「それが僕へ課せる処分かい?」

   「もし破ったらどうなるんだい?」

きっとレミリアは能力を発動しているはずだ。

こいつは絶対に紅魔館へ入ることが出来ない。

運命がそう仕向けるだろう。


レミリア「別にどうもしないわ」

    「それから、次は貴方の処分よ」

ヒルトミ「……なんだ?」

レミリア「後で私の部屋に来なさい」

そう伝えレミリアは紅魔館へ入っていった。


???「やれやれ、命拾いしたよ」

   「死ぬのも覚悟していたんだけどね」

ヒルトミ「お前名前は?」

???「僕の名前が知りたいのかい?」

ヒルトミ「本気じゃないとはいえ俺に引けを取らない実力だったからな」

    「強者の名前を知りたいのは普通だろ?」

???「………」

   「僕はカイ、君が仲間になってくれたら凄く心強いのになぁ」

ヒルトミ「カイか、結局お前は何が目的だったんだよ?」

カイ「僕はとある組織のメンバーさ」

   「君僕のものになってよ」

   「僕と付き合ってよ」

ヒルトミ「は?何言ってんだお前?」

    「そんな趣味はねぇよ」

カイ「……冗談なんかじゃないけどなぁ」

  「僕は今君に夢中なんだ」

背筋がゾッとするのを感じる。【こいつ】はカイに嫌悪感を感じているようだ。

お前モテモテじゃねぇか。


ヒルトミ「俺は男だぞ?……俺でいいのか?」

カイ「ん?性別ってそんな重要なものなのかい?」

  「君が望むならどんな僕にでもなるよ」

あ、コイツは本物だ。


ヒルトミ「生憎男を好きになる趣味はないんでね」

カイ「あー、振られちゃったか」

  「僕は諦めないよ」

  「次会うと時は君を振り向かせてみせるからね」

そう言ってカイは俺の前から姿を消した。


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